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第276回 MEIC STEVENS "Caneuon Cynnar" |
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MEIC STEVENS - "Caneuon Cynnar" |
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RARE度:★★★★★★ |
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Member : |
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Meic Stevens(vo,g,key), Richard Dunn(key), |
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Side (B) |
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ウェールズ孤高のSSW、メイク・スティーブンスの未発表曲集です。 実はメイク・スティーブンスはあまり好きじゃない(おい!)のですが、 そんな中でもこの作品だけは気に入っています。 未発表曲集と聴くとその瞬間に読み飛ばす人も多いことと思いますが、 もう2行待ってください。 このアルバムは未発表曲集とはいえ、当時発売されたもので、しかも プレス数が50枚と、UKフォーク幻の作品としてマニア垂涎の作品と なっています。 更になぜかキングサイズのジャケットに映ったメイクさんの荘厳な顔は、 ストリート・ラッツ(Street Rats)のスティーブ・マリオット(Steve Marriott)先生を思わせるかっこよさで、 モノクロ・トーンな ところがこれまたレア盤然とした風格に満ちており、いやがおうにも 聴くものの期待感を膨らませてくれます。 能書きはさておき、早速針を落としてみると、こっ・・これは!! アウトランダー(Outlander)なんか目じゃない湿り気と陰鬱!!!! ハスキーこの上ないヴォイスはまさにメイク・スティーブンス先生なら ではのもので、アコースティック一本で淡々と盛り上がってくる絶妙の 奥ゆかしさに、こいつがあれば百年でも一人で過ごせると言われる幻の 焼酎『百年の孤独』なんぞを一人孤独にちびりとすすった時の恍惚と 不安、そしてメイク先生のバック遠くからかすかに聴こえてくる清楚な コーラス・・・、そっ、その声は! ウェールズのメリー・ホプキンこと、歌姫ヒーザー・ジョーンズ(Heather Jones)ではありませんか!!(注:メリーもウェールズです。) もちろん、ヒーザー・ジョーンズ自身のソロ・アルバムでもこの美しい 歌声を堪能することはできるのですが、彼女の声は先生の参謀として 歌っているときが最高で、A-1はこの世のものとは思えない儚さです。 彼の他の作品は、どうしても寒風吹きすさぶ中で、マントにくるまって 歌っているような印象があるのに対し、この作品は女性ヴォーカルが 加わるせいか、室内で紅茶をすすりながら窓の外を眺めているかのような いつもと違う雰囲気があります。(すすっているのが焼酎なら、また 雰囲気は異なるかもしれませんが。) 時折入るキーボードも曲に微妙な広がりを加えています。 B面ラストは地味なアコースティック・ナンバーですが、ここでもヒーザーのコーラスがそこはかとなく聴くことができ、A-1級の絶品な内容です。 もうこのあたりにくるとセピア色一色で、夕日の沈む初冬の夕暮れ時に聴けば最高の一枚でしょう。 (2008.01.30) |