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第243回 ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA "Same Title" |
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ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA - "Same Title" |
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RARE度:★★★★ |
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Member : |
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Roy Wood(vo,g,b), Jeff Lynne(vo,key,g,b), Bev Bevan(ds), |
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Side (B) |
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ELOというと80年代のオリビア・ニュートン・ジョン(Olivia Newton- John)との合作『ザナドゥ(XANADU)』でも有名ですが、それから遡る こと10余年の1stアルバムは、シアトリカルな雰囲気を漂わせながらも プログレ・ファンにも十分通用する出来栄えです。 そもそもELOは、元ムーヴ(MOVE)のロイ・ウッドとジェフ・リンという 天才2人が71年に結成した世界に誇る異色のブリティッシュ・プログレ・ バンドで、一種独特のエレクトリックな世界に、時代を感じさせる ヴァイオリンが複雑に絡み合っているという、この1stのとてつもなく 不思議なサウンドは、『デビュー・アルバムにしてこれか…!?』と 末恐ろしさを感じさるものです。 ライヴ映像を観たことがあるのですが、専属ヴァイオリニストが一人 横に立って演奏しているというのが、とにかく不思議な感じで、なかなか 新鮮な違和感もありました。 ヴァイオリンの音はイタリアのプログレやエスペラント(ESPERANTO)の ような室内楽的なものではなく、あたかも硬い岩盤をガリガリと削り とるかのような力強さがあり、そしてこれが全編に亘って大活躍! 曲でいえば、A-1が最も衝撃的です。私には。 まるでアバ(ABBA)の『ギミー・ギミー・ギミー(Gimmie, Gimmie, Gimmie)』のイントロに、ビートルズの『ストロベリー・フィールズ・ フォーエバー』のような硬質なヴァイオリンが哀愁たっぷりで入ってくる 様は限りない可能性を感じさせてくれます。 更に異色なのがB-4。縦ノリのヴァイオリンが攻めまくる不思議極まりないサウンドは、まさに『今まで耳にしたことがない』曲です。 全体的にメロディアスといえばメロディアスだし、実験的と言えばそうとも言える、なんとも一言では紹介しづらい作品でもあります。 この後も水準の高い独特の作品をリリースし続けますが、この作品の発表後、ロイ・ウッドがすぐに脱退してしまうので、不思議極まりない 独特の雰囲気はこのアルバムならではのものとなってしまいます。 個性的なグループが多い70年代のブリティッシュ・ロック界においても、このグループは特に個性的だと思います。こんなこと演っていても ロックになるんだな、と感心してしまいますね。 アヴァンギャルドでもなく、暗いわけでもないのですが、決してカーステでは楽しめない、そんな作品です。 ついでのようですが、ジャケットがまた秀逸で、モノクロの 内ジャケも必見です。 (2007.02.10) |