BACK TO HOME | ||
第228 SKID ROW "34 Hours" |
||
|
SKID ROW - "34 Hours" |
|
RARE度:★★★★ |
||
Member : |
||
Gary Moore(g,vo), Nollaig Bridgeman(ds,vo), |
||
|
Side (B) |
|
ゲイリー・ムーアというギタリストをご存知でしょうか。 ブリティッシュ・ハード・ロックを代表するギタリストで、北アイルランド生まれ。 素晴らしいテクニックを持ちながらも、そのお世辞にもかっこいいとは言えない風貌でだいぶ損をしていると思っているのは私だけはないと思います。 私が高校生の頃は、クラスの男子は必ず贔屓のロック・バンドがいなければならず(本当かよ)、リアル・タイムのバンドのファン以外でも 当時でも既に解散して伝説となっていたツェッペリンなんかの言わば『昔のバンド』ファンやらがおりました。で、如何に贔屓にしているかを自慢するわけなのですが、何故かゲイリー・ムーアのファンだけは、いつも照れくさそうで妙に言い訳がましかった記憶があります。 「おっおれはゲイリー・ムーアがいいと思う。いやっ、でもうまいよ。ギターはマッマジで。」ってやましい感じで見ていて不憫でした。 また悪いことにちょうど私が高校生の頃に彼のソロ・アルバム『大いなる野望(Corridors Of Power)』が発表されるのですが、このジャケットの 彼の写真がまたなかなかダサくて、それも不憫さに拍車をかけていました。 まあそんな話はさておき、今回ご紹介するアルバムは彼がギタリストとしてデビューしたバンド、『スキッド・ロウ』の2枚目にあたります。 彼が10代で参加した1stは、ややとっちらかった感があるものの、この2ndアルバムはハード・ロック・アルバムとしてもかなり完成度が 高く、ゲイリー・ムーアが好きか嫌いかに係わらず、全てのハード・ロック・ファンにはじゅうぶん楽しんでもらえる作品だと思います。 時代的にも70年代初頭のブリティッシュ・ハード・ロックだけあって、単純なハード・ロックには終わっておらず、プログレ的な要素や カントリー風の曲等も収められていて、飽きのこない仕上がりです。トリオ編成のくせにやたらと音も分厚くて、リズム・セクションも複雑で ドラムスの手数も文句なしです。 音的、レベル的にはちょっと違うかもしれませんが、天才ギタリストの若き日の雄姿という意味では、かのクレム・クレムソン(Clem Clempson) を擁したベイカールー(BAKERLOO)のアルバムによく似ていると思います。 ただ、今になって冷静に聴くとやっぱりアイリッシュですね。彼は。 シン・リジー(THIN LIZZY)のブラック・ローズ(Black Rose)での アイリッシュぶりの原点がこのアルバムにはあるのかも知れません。 一聴すると冷たい構築的なハード・ロックですが、根底には アイリッシュ魂が感じられる名作だと思います。 (2006.8.20) |