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第204回 GORDON GILTRAP "A Testament Of Time" |
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GORDON GILTRAP - "A Testament Of Time" |
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RARE度:★★★★★ |
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Member : |
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Gordon Giltrap(g,vo), Del Newman(key), Chris Lawrence(b) |
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Side (B) |
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丁度『ヒーリング』という言葉が定着してきた90年代初頭から始まる日本での『ブリティッシュ・フォーク・ブーム』は、『フォークのブーム』というよりもむしろ『フィメール・フォーク・ブーム』と 言えると思います。 王道系フォークとそういったフィメール系とでは根本的に違いがある、と言うのがかねてからの私の持論で(大袈裟な!)、特にバート・ヤンシュ(Bert Jansch)やジョン・レンボーン(John Renbourn)らの 渋いところを押さえている昔からの王道系フォークファンの方々は、昨今のそういったフィメール一辺倒の流れに苦虫を噛み潰しておられるのではないでしょうか。 そういった点では、今日ご紹介するゴードン・ギルトラップ(Gordon Goltrap)は『癒し系』ではなく、まさに『王道系フォーク』。初期の作品では彼の卓越した超絶ギター・プレイが堪能できます。 特にこの3rdアルバムは、そんなギター・プレイの素晴らしさにストリングスも大胆にフィーチャーされたものとなっていて、一筋縄では いかない不思議な感覚のフォークとなっています。 とりあえずは、B面も悪くはないのですがA面の出来が良すぎなのです。 < A面全体の美しい調べと素晴らしいギター・テクニックは見事なもので、ストリングスとの融合もバッチリ決まっています。そして何と言っても曲がいい。『さりげなく入るストリングスの音』というのが好きなので、個人的にはこのアルバムの構成がとても気に入っています。 曲がよくてストリングスが美しいというとスリー・マン・アーミー(THREE MAN ARMY)の3rdのA面ラストとか、ベケット(BECKETT)のA面とかのような涙秋枯れ系等がありますが、あの手が好きな人には 絶対お薦めのアルバムです。 もうA-2の出だしとか、A-3とかの美しさと言ったら、窓辺の紅茶とか日曜午後の陽だまりとか小春日和とかの、そんなシーンを思い浮かべ、頭がぼぉーっとするような夢うつつの世界が広がるのです。 でも単なる『癒し系』ではないのです。くどいようですが。 モダンなジャケの感じからは想像もできない叙情的なサウンドは、ブリティッシュ・ロックのファンにもお薦めしたい内容です。 (2005.12.10) |