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第200回 VANILLA FUDGE "Same Title" |
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VANILLA FUDGE - "Same Title" |
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RARE度:★★ |
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Member : |
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Carmine Appice(ds), Tim Bogert(b), Vince Martell(g), |
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Side (B) |
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世界で5指に入る必殺のリズム・セクション・コンビ、カーマイン・ アピスとティム・ボガートが在籍していたことで、オルガンロックの 原点とされ、いにしえの昔よりロック・ファンの間で語り継がれてきた作品です。 しかし・・・ ヴァニラ・ファッジの1stアルバムといえば、ビートルズの曲を サイケデリック色に塗りたくったカバーなんかも入っていて、まるで 中学・高校の鼓笛隊のような安そうな音のイメージをお持ちではない でしょうか? このアルバムのハイライトは、B-2に尽きるのですが、そのB-2でさえ 出だしのドラムスは完全にブラバン(ブラスバンド)状態で、もう ちょっといい楽器使えんかったもんかいなと、情けなくなったりもします。 特に最初の方の音の陳腐さは特筆すべきものがあり、そこだけ聴いて いると、大学の軽音の部室で1年生が練習しているかのような錯覚に 陥ってしまうほどの悲しさです。 ところが! 曲が進行していくに従ってにじみ出て来るこの曲の素晴らしさは、 そんな逆境を軽く乗り越えてしまう程のもので、まさに名人筆を選ばず。 しかも徐々にいなせなベースプレイが入ってきて、ドラムスが水戸黄門 フレーズ(水戸黄門の主題歌のイントロのリズム)を刻みだすと様子は 一変。軽音部室から60年代のフラワーサイケに一気にトリップしてしまう という大変な状況になります。 チープなドラムスとチープなオルガンが達人の手によって脅威の アンサンブルに仕上げられユニゾンで上り詰めていくところは一種の 感動すら覚えます。 昔、テレビの番組で、一般家庭を訪問した料理の鉄人がそのお宅の 冷蔵庫にある余りものを使って凄い料理を作るのによく似ています。 そしてヴォーカルの出だしの『セット・ミー・フリー・・』と始まる ところのかっこよさは60年代指折りのもの。投げやりな歌い方も、 楽器の腕前が凄いので歌なんか適当にやっとけ、みたいでひじょうに 男っぽくて良いんです! この後、カーマイン・アピスとティム・ボガートのコンビは カクタス(CACTUS)を結成、その後は栄光のベック・ボガート・アンド・ アピス(BECK, BOGERT & APPICE)へ発展していくのでありました。 (2005.10.30) |