BACK TO HOME | ||
第199回 CAROL GRIMES AND DELIVERY "Fools Meeting" |
||
|
CAROL GRIMES AND DELIVERY - "Fools Meeting" |
|
RARE度:★★★★★★ |
||
Member : |
||
Steve Miller(key,vo), Phil Miller(g), Roy Babbington(b), |
||
|
Side (B) |
|
『フィメール・ヴォーカル・アルバム』です、と紹介するとまずイメージするのが、『癒し系のフォーク』がきて、フュージョン・オーケストラ (FUSION ORCHESTRA)やキャタピラ(CATAPILLA)の1stのようなゴリゴリのブリティッシュ・ハードをバックに唄う『ハード系ヴォーカリスト』と 続くかと思いますが、『ハード系』とはいってもベーブ・ルース(BABE RUTH)のように絶叫型にならない、そういう若気の至り的な部分が ない、あえて言えば『大人系ハード』とでも言えるのが、今日ご紹介するキャロル・グライムスです。 フィメール・ヴォーカルというと湿り気のある感じの人が多いのに対し、彼女の歌声はドライそのもの。ウォッカを飲みすぎて半分しわがれそうな でもギリギリしわがれてなくてそれがかえって魅力となっています。 私が思うに、このアルバムを名盤の域に押し上げている一番の要因は、楽曲の良さで、バックの演奏も冷静に聴くと凄いテンションを保っており ジャズ&ハード・ロック系の躍動的なピアノと乾きまくりのドラムス、そして喉にモノが詰まったようなくもったギターが絶妙のバランスを 保っていて、そこに呼吸がピッタリあった彼女の歌声が来るのですよ。 さらに、激しい歌唱の合間に時折見せるふっと息を抜いた表情は、スポーツクラブから出てきたときに感じる心地良い疲れのような良い感じで、 漂う脱力感が懐の深さも感じさせてくれて、雰囲気はだいぶ違いますが、先に挙げたフュージョン・オーケストラのような充実野菜的な内容で ハード系が好きな人にもじゅうぶん満足いく内容ではないでしょうか。 一聴してすぐに気に入る割には意外と奥が深く、つかみどころのないアルバムですが、その分永く飽きることなく聴くことのできる一枚です。 ジャケットに映っている彼女の姿は、知らずに見るとその辺で掃除でも してそうな『えらいイモい(って死語か)姐さん』だな、っていう感じ なのに、音を聴きながら見るとカッコよく見えてくるから不思議なもん です。 (2005.10.20) |