BACK TO HOME | ||
第192回 AEROSMITH "Rock In A Hard Place" |
||
|
AEROSMITH - "Rock In A Hard Place" |
|
RARE度:★ |
||
Member : |
||
Steven Tyler(vo,key), Tom Hamilton(b), |
||
|
Side (B) |
|
『美獣乱舞』というキワモノっぽい邦題の付いたこの作品は、エアロスミス栄光の歴史の中でも唯一の汚点と言っていいくらい駄作の烙印を押されたもので、彼らが宇宙人だったら、ファンの記憶とともに 消し去ってしまいたいアルバムではないかと思います。 評論家筋に受けが悪いだけでなく、ファンにも人気のない一枚で、グループ創立当初からのメンバーであるジョー・ペリー(Joe Perry)が脱退したため彼のいない唯一の作品である、というのも止めを刺しました。 では何故そんな一枚を取り上げるのか。初心で音楽を聴くというのはとても大切なことで、皆さんの批評はさておき、私にとってはグレートなアルバムだからなのです!! というのもアルバムが発表された82年当時、ハードロックならなんでも聴きたい状態でテンパっていた高校生の私に、剣道部の小川クンが録音してくれたのが何を隠そうこのアルバムで、エアロを初めて聴く私に とっては十分に最高傑作な内容でした。 もっとも小川クン自身は1stからずっと聴いてきている由緒正しい叩き上げのエアロファンで、この作品の良し悪しはともかく、たまたま新作を買ったから録音してくれた、というだけの話だったのですが。 『ふうん。エアロスミスっていう人(おいおい)が歌っているのか・・。なかなかかっこいいな。』ってな感じです。ディスコ・グラフィーをちゃんと読んでいたなら絶対この作品から聴くことはなかったんだと 思います。初心でレコードを聴くというのは本当に大切なことですね。 それは丁度大学受験の時期と重なっていた頃でもあり、勉強をする時にはこれかBBA(ベック・ボガート&アピス)をお約束のように聴いていた為か 20年以上経った今となっても思い入れが強いのです。 特に絶品なのがA面の流れで、A-1の『ジェイルベート』はきれいな心で聴けば、『バック・イン・ザ・サドル』と肩を並べるスリリングな一撃。そしてこのアルバム中、第一のハイライトがA-2『ライトニング・ ストライクス』で、これは本当にかっこいいです。(最近になってビデオクリップを観ましたが、ビデオクリップは今ひとつでしたが・・) この曲のエンディングから次の『ビッチズ・ブリュー』へのつなぎはブリティッシュ・ロックのような権威に満ち溢れた沈黙で、これは10年以上やっているベテラングループじゃないと出せない味です。 そしてA-5は、スティーブン・タイラーの十八番バラッドで、もともとスタンダードなナンバーなんですが、この闇夜的なセクシーさは彼のバラッドの中でもトップ・クラスに位置する出色の出来です。 夜中にじっくり音楽を聴いていてついつい時間を忘れてしまい、空が白み始めた頃に聴くと実にバッチリな曲です。翌日『笑っていいとも』 前に起きれないこと請け合い。エアロのバラッドの中でも『ユー・シー・ミー・クライング』とともに永遠を誓うこのとのできるナンバーです。 70年代ロックファンからも、最近のアルマゲドン世代のファンからも見放された悲劇の一枚ですが、今一度『きれいな心』で聴いてみる事を お薦めしたい一枚です。 (2005.07.30) |