BACK TO HOME | ||
第188回 ART "Supernatural Fairy Tales" |
||
|
ART - "Supernatural Fairy Tales" |
|
RARE度:★★★★★★ |
||
Member : |
||
Mike Harrison(vo,key), Luther Grosvenor(g), |
||
|
Side (B) |
|
A-1からいきなり飛び出す前近代的で度肝を抜かすサウンドを繰り出すこのグループは、スプーキー・トゥース(SPOOKY TOOTH)の前身で、後に栄光のハンブル・パイ(HUMBLE PIE)で活躍するグレッグ・ライドリー(Greg Ridley)が在籍していたことでも有名です。 さらに前身はヴィップス(VIPS)というグループですが、アルバムは出していなかったようで、ここまで遡ってしまうと中国の尭とか舜みたいく史実以前のようなもので、存在すら疑わしいところがあります。 67年発表の割には音の感じがかなり古く、66年くらいの音のような印象を受けます。『なんだ、1年しか違わないじゃないか』とお思いかもしれませんが、この時期の1年って結構大きいんですよね。昭和29年以前の生まれと昭和30年以降生まれとでは大きくタイプが異なると聞いたことがありますが、そんな感じなのでしょうか。(どちらも根拠はありません。) 私はハンブル・パイ好きが高じてこのグループに辿り着くのですが、途中スモール・ファイセス(Small Faces)あたりで息切れしそうになりつつも出会った時には『『アート(ART)』などと言うグループ名を堂々と名乗るとはよくもまぁ大きく出たな』とまずはグループ名に感心したものです。 内容的にはサウンドはアート・ロックがかったサイケデリックな色合いの強いビートハードロック作品に仕上がっていて、トラフィック(TRAFFIC)をもう少しサイケデリックにしてニルバーナ(NIRVANA)っぽさを加えたような感じです。ジャケットもとても魅力的で摩訶不思議な感じがその内容をよく表していると思います。 スプーキー・トゥースのヴォーカリスト、マイク・ハリスン(Mike Harrison)がヴォーカルを担当しているため、歌の部分はスプーキー・トゥースにすごく雰囲気が似ています。ただこちらの方がもっとサイケがかっています。このヴォーカルには正統派のブリティッシュ・ハード・ロックよりもこういうサウンドの方がよく合っているような気がします。 第一印象ではあまり良くなかった曲も、聴きこむ程に意外と良いので、飽きずに何回でも楽しめるアルバムです。ところどころ不釣合いなヘヴィーなギタープレイとかも入ってきたりして、そのアンバランスな危うさが妙に魅力的な作品でもあります。 個人的にはマイク・ハリスンがヴォーカルをしている作品の中では一番気に入っています。唯一不満を言うなら、グレッグ・ライドリーがもう少し歌っていてくれればもっと嬉しかったですね。 (2005.06.20) |