BACK TO HOME | ||
第187回 SECONDHAND "Death May Be Your Santa Claus" |
||
|
SECONDHAND - "Death May Be Your Santa Claus" |
|
RARE度:★★★★★★★ |
||
Member : |
||
George Hart(b,violin,vo), Kieran O'Connor(ds,vo), |
||
|
Side (B) |
|
なんとも不気味なタイトルのこのアルバムは、セヴンス・ウェイヴ(SEVENTH WAVE)の前身、セカンドハンド(SECONDHAND)唯一の作品です。前衛的でプログレ然としたアルバムジャケットがマニア心をくすぐります が、ジャケットにも負けず劣らずその内容はまさにプログレッシヴそのものです。 この辺のブリティッシュB級プログレの作品はモノによっては出来不出来に相当な差があり、単なるジェネシスのコピーバンドみたいなのをつかまされてしまうともう最悪で、そんなのを買ってしまうと、ついつい 取り乱してしまって『もう王道しか聴かん!』と大人気ないことを言ったりしますが、このアルバムに関してはそういう心配は不要です。 不思議なキーボードの音色とエフェクト処理された不思議なヴォーカルが独特のやわらかみをみせているような一回聴いたくらいでは全体像を把握しきれない奥の深さで、バラバラの音の素材を貼り絵のように重ね 合わせたような作り方なのに、それでいて完璧なひとつの音世界が形成されているのは、耳肥えのマニア諸氏の耳をうならせるに十分な水準です。グレイシャス(GRACIOUS)の前に出しても恥ずかしくない傑作です。 もう少しわかりやすく言うと、アードバーク(AARDVARK)にまろやかさを加えて完成度を高めたような感じ。(かえってわかりにくいか・・・) A面のぶっとんだ世界も凄いものがありますが、B面はもっと飛んでいて、シュールなB級フランスSF映画(どんなん?)の再放送をひとり深夜に見ているようなアブナイ雰囲気がたまりません。 知名度こそ低いものの、完成度という点では並みいるブリティッシュ・プログレの名グループ達にも比肩しうるもので、シンフォニックな響きも失われておらず、時折入るメロトロンも効果抜群。実験的でいながら アカデミック。シュールなくせにノリは悪くない。芸が細かいくせにスケールは大きい・・・。 くどくどと書いてきましたが、要するに、そんなレビュー泣かせの一枚なのです。 (2005.06.10) |