BACK TO HOME | ||
第178回 PULSAR "Halloween" |
||
|
PULSAR - "Halloween" |
|
RARE度:★★★★★ |
||
Member : |
||
Jacques Roman(key,mellotron), Victor Bosch(ds), |
||
|
Side (B) |
|
フレンチ・プログレの雄、ピュルサー(PULSAR)は66年から活動していたようですが、レコードデビューは74年。2ndアルバムでは国内盤のインナーのデザインを松本零士が担当したため、日本でも多少は話題と なったようです。初期の2枚も内容的には彼ら独自の世界が確立されたものとなっていますが、今日ご紹介する彼らの最高傑作の3rdはレベルがだんちなのです。 まずA-1ののっけから飛び出す極上の女性スキャットが歌う北アイルランド民謡は、もう既にこのアルバムがただ事ではないなということを予見させる素晴らしさで、時間も空間も一気に越えてしまう神秘的な 響きは秒殺必至のパンクラス状態。 こんな曲の前では癒し系等という言葉がなんの意味も持たなくなるくらい説得力のある美しさです。 A-1の歌に続くやわらかなメロディは、マチュピチュの都市に霧が差し込んでくるような控えめなメロトロンと爪弾きアコースティックの調べが絶妙で、大聖堂然とした珠玉のピアノまで入ってくると、もう気絶必至の プライド状態。 更に絡んでくる幽玄なギターはユーロロックならではの味わいで、それぞれの楽器のテクニックが云々というより、全体のアンサンブルで別室の音空間を築き上げている、そんな感じのアルバムです。 のけぞりフィメールスキャットは結局A-1だけで、あとは男性ヴォーカルになるのですが、A面ラストでのヴォーカルナンバーはこの上なくウェットな仕上りになっていて、叙情派ユーロロックの真骨頂。控えめな ドラムスとの相性もバッチリです。 皆さん意外と気付いてないかもしれませんが、この作品の中ではドラムスの味付けもポイントのひとつです。 ユーロロックというジャンルがまだ日本で市民権を得ていなかった頃、こんなレコードを見つけた人はさぞかしぶったまげたことだろうと思います。プロレスしか知らなかったころのUWF状態。 「シンフォニックなユーロロック」なんていうキャッチコピーにつられて買ってみたものの、いざ聴いてみるとピコピコサウンドだったり、シンセウニュウニュサウンドだったりで、v後悔で「もうユーロロック なんて死ぬまで聴かん!」とすっかり心を閉ざしてしまった方に、最後にもう1回このアルバムだけでも聴いてもらいたい、そんなアルバムです。もしかしたら、ユーロロックを見なおして頂ける機会になるかもしれませ ん。 でも万一このアルバムを聴いて更に落胆してしまったら、もう二度とユーロロックは聴いてもらえないのでしょうね・・。 で、K-1はどうなんだろう?(なんのこっちゃ) (2005.03.10) |