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第172回 JEFF BECK GROUP "Same Title" |
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JEFF BECK GROUP - "Same Title" |
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RARE度:★ |
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Member : |
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Jeff Beck(g), Bob Tench(vo), Clive Chaman(b), |
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Side (B) |
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ロックグループのアルバムを買う時に、その音楽は置いといてギタープレイだけを聴く、最近の人たちはそんなレコードの聴き方をすることはないのかも知れませんが、私がこのアルバムを購入したときはそんな聴き方をしていました。 今でこそマニアックなグループの情報や映像も簡単に入手できるようになり、ヤードバーズ(YARDBIRDS)というグループの神秘性もだいぶ薄れてきたように思いますが、私がジェフ・ベックの名前を知ったばかの頃は ヤードバーズなんて言ったらそうれはもう伝説中の伝説、という感じで、中国でいう夏王朝(商王朝のひとつ前)のようなミステリアスなイメージがありました。 当時ヤードバーズの存在を知った高校生の私にとって、そこに在籍していた伝説の英国3大ギタリストといったらもう神に近い存在で、ギターもろくに(というかまるで)弾けないくせに、彼らのギターの音色をヤードバーズで聴くだけで『いやあ、かっこええなあ』と、ため息をつく 毎日でした。よもやそんな神みたいな人たちの一人がスマップ(SMAP)の曲を作るとは、どう解釈していいものやらちょっと混乱しています。 さて、そんなヤードバーズの中でも一番の変わり者と言われていたジェフ・ベックはヤードバーズ脱退後に自身の名前を臆面もなくそのままグループ名にしたジェフ・ベック・グループを結成します。 彼らの作品ではロッド・スチュワートを擁するデビューアルバムが有名ですが、内容的に言えば一番なのはグループとしては4作目にあたるこのアルバムだと思います。 前作、『ラフ・アンド・レディ』(Rough And Ready)の時にベックがオーディションで採用したコージー・パウエルがドラムスとして参加しており、今となっては信じられない夢の組合せですが、普通に考えればこの2人が いるんだから悪いわけがないのも当然です。 アルバム全体の印象としては、ヴォーカルが黒っぽい歌い方をしているのとピアノがアメリカ南部っぽいので、随分ファンキーな雰囲気となっていますが、そんなことにこだわっていない人だけが幸福になれるという くらい本当に良いアルバムです。 特にA-1の出だしのコージーのドラムス。なんだこれは!?!?!?上手すぎです。それに黒っぽいヴォーカルも実はイイ。思わず歌う自分がそこにいます。そして途中までおとなしくグキグキとバックで鳴らして いたベックが、満を持してギターソロに入ってくるところなんて、気絶必至、死んでもいいです!って気になります。 という風にいうと、それぞれがソロで好き勝手にやっていのか、とも聞こえますが、実際には全然そんなことなくて、グループとしてのまとまりもジェフ・ベック・グループ中一番だと思います。 A面ラストはギターインストロメンタルとしては3本の指に入いってもいい屈指の一曲ですが、このほかにB面のラストにもインストロメンタルの名曲が配されており、このインストが2曲というのもギターアルバムと してはいい塩梅に仕上がっています。B面ラストの方は映像もあるのでそちらも必見ですね。 『ワイアード』(Wired)も悪くはないんですが、歌入り曲も入ったこのアルバムが一番好きです。 (2005.01.10) |