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第168回 TEMPEST "Same Title" |
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TEMPEST - "Same Title" |
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RARE度:★★★★ |
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Member : |
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Paul Williams(vo,g), Allan Holdsworth(g,vo), |
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Side (B) |
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元コロセアム(COLOSSEUM)の天才ドラマー、ジョン・ハイズマン(John Hiseman)がイギンボトム(IGGINBOTTOM)のアラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)、ジューシー・ルーシー(JUICY LUCY)の ポール・ウィリアムス(Paul Williams)らと結成した、スーパーグループの1stアルバム。 スーパーグループというと期待したのとはちょっと違った音になって、う〜ん・・となることが多いのですが、このグループに関していうと、全員の持ち味が存分に発揮された摩訶不思議で今まで聴いたことのない ような内容になっていて、初めて聴いたときの衝撃は、まるで初めて納豆スパゲティを食べたときのそれのようで、単なるスパゲティ+納豆になっていない、足してみたら全く違う魅力の新しいものになってしまった、 そんなサウンドです。 特にジョン・ハイズマンとアラン・ホールズワースの激突が想像を超えた展開になっていて、それぞれが天才的なプレイヤーであるがために、普段はおとなしくしていたのに自分以外の天才に出会ってついつい本気を 出してしまいとんでもない音になってしまいました、って感じ。 ヘビ女ゴーゴンを正面にあしらった神秘的なジャケット・デザインで、とりあえず「これは!」と思わずレコード店で手にしてしまうのですが、音の方はもっと神秘的で、プログレでもないし、そんじょそこらにあるハードロックでもなく、ポップでもない、かといってとっつきにくい訳でもなく、 でも曲はメロディアスという、なかなか説明するのが難しい、とにかくくどいようですが「納豆スバゲティ」なのです。 ただ、スケールはコロセアム級の大きさで、テンペスト(大嵐)の名に恥じない暴れっぷりは、かっこよさも半端じゃないです。 静かなギターの爪弾きで始まるA-1の出だしは「これはもう絶対この後嵐が襲ってくるに違いない。」という後の展開を約束したかのような静けさで、頂上に上っていくジェット・コースターのような緊張感に満ち溢れて います。 そして期待通りギターの炸裂音で激しく幕を開けると、ハイズマンの嵐の超絶ドラミングが真正面からぶつかってきます。 更にサビの後のギターソロは、アラン・ホールズワースの真骨頂で、その指関節の凄さが生み出す他の誰にもマネのできない奇跡のスケーリングで聴く者を圧倒。普通に聴いていると「これが本当にギターの音なのか!?」といいたくなる不思議な音色です。 この後、彼らはもう一枚アルバムを発表していますが、このアルバムの後アラン・ホールズワースは脱退してしまい、代わりににパトゥー(PATTO)のオリー・ハルソール(Ollie Halsall)が参加、これがまた全く違う味の 作品です。一般的には2ndも名作と言われていますが、個人的にはこの1stアルバムの緊迫感と神秘性が失われてしまった別のグループのように思います。今ひとつハイズマンに元気がなくなったような気がして、長州力が新日本 プロレスに帰ってしまった後、全日本プロレスで一人さびしく戦っていた天龍のように感じるのは私だけでしょうか。(?) 2ndアルバムでイマイチと思った方、こっちは全然違うので機会があったらどうぞご一聴を。「納豆スパゲッティ」も未体験の方には是非お薦めしたい一品です。 (2004.11.20) |