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第151回 JEFF BECK "Wired" |
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JEFF BECK- "Wired" |
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RARE度:★ |
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Member : |
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Jeff Beck(g), Richard Bailey(ds), Wilbur Bascomb(b), |
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Side (B) |
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ロックギターの持つ魅力に取り付かれた人は必ずといって良いほどこの人に巡り合うことになると思いますが、そんな人達にとって、 どうしても避けて通ることのできないのがこのアルバムです。 ヤードバーズ、ジェフ・ベック・グループ、BBAというハードロックの名作を次々と世に送り出してきた後、突如として『ギター殺人者の凱旋』 というインストゥルメンタルアルバムを発表し、そのクロスオーバーな作品はファンの間でも賛否両論を呼んだようです。 このアルバムは『ギター殺人者の凱旋』の次に発表された同系統の作品で、前作の路線を更に進化させたもので、ジャンルにこだわらない、いわば 「自由な発想」で作り上げられた作品です。 という私、今だからこそ「自由な発想」とか言って冷静に評価できるのですが、高校生の時に初めて聴いた時は『げっ、な、なんだ?この フュージョンは!これじゃあ、まるで高中正義じゃないか。』と失意のどん底にたたきつけられた覚えがあります。 『音が新しすぎる』っていうのもブリティッシュロックファンにとってはなかなか痛いものがあり、色んな意味で考えさせられるアルバムでした。 それでも高校生くらいの年頃っていうのは内容云々以前に、名前とか権威に非常に弱い時期なので、『内容はどうあれこれは絶対に好きにならなけ ればならない。』という気持ちで聴きつづけました。 無理無理聴きつづけていたらいつしかそれなりに気に入るようになっていくもので、それは、プロレスラーの高田延彦が、イヤイヤちゃんこを たくさん食べ続けて身体を大きくしたというのと同じです。(?) A-1の『レッド・ブーツ』はもうハードフュージョンという感じで、かっこよさという点では申し分なく、なんでプロレスラーの入場テーマに 使わないんだ!とこれまた怒り心頭になるような曲。確かに曲自体はどれもよく練られているので、一度気に入ってしまえば抵抗なく聴きつづけられるアルバムではあると思います。 ハイライトはやっぱりB-1でしょう。この曲、邦題をそのまま『ブルー・ウィンド』としていたらなんてことなかったんかもしれませんが、 『蒼き風』という邦題が素晴らしく『青き風』としなかったことで、カリスマ性を持たせることに成功しています。ビートルズの『抱きしめたい』と並ぶ正に邦題の勝利。 ジャケットもたぶんそのイメージなんでしょうね。 ちなみにこの曲はライヴ版ワイアード、『ライヴ・ワイアー』に収められているのですが、そこでの『蒼き風』は途中ヤードバーズの 『トレイン・ケプト・ア・ローリン』のリフが挿入されていて絶品の出来です。 また『ラヴ・イズ・ブルー(恋は水色)』ならぬB-4の『ラヴ・イズ・グリーン』(たぶん意識してつけた曲名)はジェフ・ベック・グループ時代の泣き泣きバラードに通じるものがあって、夜寝る前に聴くにはうってつけの1曲で、アロマテラピーなんか目じゃない安眠効果を 得られます。 (2004.05.20) |