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第145回 |
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GRAHAM BOND ORGANIZATION - "The Sound Of 65" |
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RARE度:★★★★★★★ |
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Member : |
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Graham Bond(vo,sax,key), Jack Bruce(b), Ginger Baker(ds), Dick Heckstall-Smith(sax) |
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Side (B) |
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私がブリティッシュ・ロックを勉強し始めた頃は『ブリティッシュ・ ロックを学ぶにはまずブリティッシュ・ブルースを好きにならなければ ならない。』みたいな掟があって、ロックを聴くにはちゃんとブルースも 勉強しないといけないと言われていました。 今日ご紹介するグラハム・ボンド(本によってはグレアム・ボンドと 書かれていることもあるようです)はそんなブルース系の典型のような サウンドで、彼の最高傑作です。よくレコード屋でも壁に飾ってあったり することが多いので、一度は目にした方も多いのではないでしょうか。 ロックを聴く人間の中にはディープ・パープル、ブラックサバス、 オジーオズボーン、MSGあたりを聴いているメタル系の人たちと、 ツェッペリン、クリーム、ヤードバーズあたりを聴いているブルース系の 人たちに大別されているように思いますが、このアルバムにきちんと 到達するには、ヘヴィメタ系にはちょっと辛すぎ、ブルース系の人でも まだちゃんとした身体ができていない(?)若い頃に、こういう音楽に 接してしまうとかえって拒絶反応を起こしてしまって、その良さを 理解できないまま終わってしまう可能性があります。 かくいう私、バリバリのハードロック野郎だった頃に聴いた時は 『なんじゃこりゃ、ロックじゃないがね。』みたいに一笑に附した記憶が あり、ブリティッシュ・ロックを20年以上聴いてきた最近になって ようやくこのアルバムの凄さを思い知らされています。 このバンド、実はグラハム・ボンド以外のメンバーがすごくって、後にクリームに入るジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーそして、後にコロセアムに加入するディック・ヘクストール・スミスという とんでもない超強力な布陣です。 もともとこの人たちはアレキシス・コーナーのブルース学校(?)みたい なところにいたらしいのですが、それをグラハム・ボンドが引き抜いて このアルバムを作成したと言われています。 音の方はブルースをベースとしながらもジャズっぽい味付けもなされて いて実に気品高いんです。ジャズっぽいといっても中国の大軍隊が 行進していくようなコロセウムみたいなシンフォニックなものではなく、 もっと真夜中のバーに近い雰囲気のサウンドです。 特にディック・ヘクストール・スミスのサックスが大人の雰囲気に拍車を かけていて、床が木でできている薄明かりのバーで帽子をかぶりながら タバコをくわえ、ワイルドターキーをちびちびとやる、そのバックに かけてもらいたいそんな雰囲気のサウンドです。 A-1のフーチー・クーチー・マンは色んな人がカバーしている有名な曲です が、ここで聴かれるのははっきりいって世界最強のフーチー・クーチー・ マンですね。サックスソロの導入する瞬間のかっこいいことといったら もう!ブラインド・フェイスのプレゼンス・オブ・ザ・ロードでギター・ ソロが入る部分のような電気イス状態です。 アルバムタイトル通り40年も前の作品ですが、本物っていうのは本当に 色あせないですねえ。なかなか耳にする機会がないかもしれませんが、 ぜひともモノラル盤で聴かれることをお薦めします。 しかし裏ジャケのメンバーの写真は楽器を持っていないのに演奏するふり をしているところが写っているのですが、これをみると私どうしても ビデオクリップ史上最もダサいといわれるジャーニーの『セパレイト・ ウェイズ』のビデオを思い出してしまってダメなんですよねえ・・・。 (2004.03.30) |