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第144回 AEROSMITH "Rocks" |
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AEROSMITH - "Rocks" |
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RARE度:★ |
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Member : |
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Steven Tyler(vo), Joe Perry(g,vo), Brad Whitford(g), |
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Side (B) |
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今ではすっかり勝ち組扱いのエアロスミスですが、昔は本当に凄かったんです。 『デュード』とか『アルマゲドン』(って曲名は違うのかな)くらいしか知らないような若い人の中には、売れ線ロックみたいに思っている方もきっといることと思いますが、実は歴史の古いバンドなので、是非機会があったら全盛期(じゃあ今は違うのかといわれると、私は違うと思います)のアルバムをきっちり聴いてもらいたい、そんなグループです。 ここで紹介するアルバムはこの後に発表される『ドロー・ザ・ライン』と並び称されるもので、『ロックス』というそのシンプルなタイトルからは計り知れないくらいに密度の濃い作品です。 次作『ドロー・ザ・ライン』の方が曲としてはインパクトの強いものが多くて(特に『キングス・アンド・クイーンズ』は鳥肌間違いなしです)、どっちを紹介しようか迷ったのですが、受験勉強しながらずうっと聴いていたこの『ロックス』の方が思い入れが強いので、こちらを紹介することにしました。 A-1のリズムの重々しい感じと古めかしい音の抜け方が、いかにも70年代古典という感じがしますが、そういう古さをもねじ伏せてしまうような緊迫感と切れ味が凄く心地良い音の塊になっていて、『いやあ、これは本物の音だな。』と聴く者を唸らせる不思議な魅力が満ち溢れています。 そしてA-2はミドルテンポのバラッド調のナンバーなのですが、A-1からA-2の流れが絶妙です。 こういう曲と曲とのつなぎ目の沈黙に凄さを感じるアルバムっていうのはありそうでなかなかなく、個人的にはフェアポートの4枚目とかウォーホースの1stあたりに同じような凄さを感じます。アマチュアとか凡百(ってよく言いますが、そんなふうにいわれたくないですねー)には絶対にマネできない凄さです。ちなみに曲名の『ラストチャイルド』ってのはリブ・タイラーのことでしょうか。 他の曲はB面ラスト以外には、これという程目立つ曲はあんまりないにも拘わらず、どれもがなくてはならない絶妙なバランスで成り立っている不思議なアルバムで、こういう作り方っていうのはツェッペリンの『プレゼンス』じゃないですけど、バンドとして充実していないとできないことなんだろうなあと個人的には思ったりもします。 そして問題のB面ラストのバラードですが、これは大変です。涙が止まらなくなるくらいいいです。 聴く時の体調とその時の精神状態によっては聴きながら号泣してしまう危険性もあるので注意が必要です。『エンジェル』の20倍はいい。(でもカラオケにはエンジェルしかないんです。)私が学校の校長先生をやった暁には、下校時刻のテーマ曲には絶対これを流してやろうなんて思っていたこともある、そんな曲です。 彼らのナンバーでいえば後に発表する『ユー・シー・ミー・クライング』(これも号泣必至)と甲乙付け難い名曲です。ジョー・ペリーのソロもこれはもう一生モノです。こういう泣き泣きの唄メロのバラードをさらりと作れるところが彼らの非凡さなんでしょうね。悲しいことがあった時にこの曲を聴いていた方、たくさんいるんじゃないでしょうか。
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