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第140回 AMAIA ZUBIRIA & PASCAL GAIGNE "Egun Argi Hartan" |
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AMAIA ZUBURIA & PASCAL GAIGNE - "Egun Argi Hartan" |
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RARE度:★★★★★★ |
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Member : |
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Amaia Zubiria(vo), Pascal Gaigne(g) |
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Side (B) |
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バスクミュージックを代表するグループ、アイセア(HAIZEA)の歌姫、 アマイア・スピリア(Amaia Zubiria)が、バスクのギタリスト、 パスカル・ゲイニュ(Pascal Gaigne)とのコンビで発表した最初の アルバム。 このコンビでは全部で3枚のアルバムを発表していますが、これはその1枚目にあたるもので、最高傑作と言っていいと思います。3枚目も評価としては高いようですが、そっちはヴォーカルがスキャットばっかりなので、なんだかいくところまでいってしまった大リーグボール 3号のような不気味さがあって、まだ今の私にはよくわからないというの が正直なところです。 さてこの1stアルバムですが、発表が85年というまだ本当にほんの最近に発表された作品ですが、そんな新しさをみじんも感じさせない(誉め言葉 なのかよくわかりませんが)素晴らしい作品です。 日光を浴びない謎の夜行性動物アイアイとかツパイ(御存知ですか?)のような神秘的な美しさがこのアルバムにはあり、フツウの人からは 『暗いからヤダ』と一言で片付けてしまう可能性もあります。 内容的にはパスカル・ゲイニュのアコースティックギターのつまびきを バックに、アマイア・スピリアがたんたんと歌い上げるといったもので、そういうのが嫌いな人には耐えられない作品かも知れませんが、好きな人にはこれまたたまらない作品でもあります。 シンプルなものほど良いものを作るのは難しいとよく言われますが、ギターとヴォーカルだけでここまでの作品に仕上げるというのは大変な ことだと思います。 私はアイセアの1stアルバムのようなビューティフル・フィメール・ ボイスを期待してこのアルバムを買ったのですが、買って帰って初めて 聴いた時は非常に印象が悪く、『うわっ!失敗した・・』と、まるで ヴァルカンズハマーとかブルーチアーの3rd(知らんっちゅうの)を買った 時のような絶望感に打ちひしがれたものです。 しかしこのアルバムは我慢して繰り返し聴いているうちにだんだん味が 出てきて、いやなかなか良いではないですか・・と。『最初にルックス だけで判断してしまった若かった自分が恥ずかしい。』みたいな気持ちに させられたのです。 アイセアの1stに較べると表面的な優しさみたいな感じがこちらの作品は 少ないのですが、もっと深いところにそういう優しさがあるような作りで、 あっちがスチームサウナならこっちは遠赤外線サウナといえばわかりやす いでしょうか。(かえって分かりにくいぞ!) ブリティッシュ・フォークの名作に、シャーリー・コリンズ&ディヴィ・ グラハムの『Folk Roots, New Routes』という作品がありましたが、 こちらはそれのバスク版といっていいような内容です。 晩秋の月夜の晩に七田あたりを飲りながら聴くとこれがまた実に 良いんですよ。翌日のことなんて全く気にならない(コラ)くらい 深酒してしまう至福の時を過ごせます。
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