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第136回 IL BALLETTO DI BRONZO "Sirio 2222" |
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IL BALLETTO DI BRONZO - "Sirio 2222" |
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RARE度:★★★★★★★★ |
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Member : |
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Gianchi Stinga(ds), Lino Ajello(g), Gianni Leone(key), |
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Side (B) |
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イタリアンプログレ屈指のレアアイテムとして有名な幻の名盤で、彼らのデビューアルバムにあたる作品。 このIL BALLETTO DI BRONZO(イル・バレット・ディ・ブロンゾ)というグループは、このアルバムの後に発表する2ndアルバム『YS(イプシロン・エッセ)』が有名で、そちらの方はもうこれぞイタリアンプログレの究極とでもいうべき内容で、次から次と押し寄せるヘヴィキーボードのうねりと前衛的なリズムが素晴らしい名盤となっています。 ここで紹介する1stアルバムは2ndアルバムとは全く内容を異にするもので、プログレ色はあまり感じられない生粋のハードロックアルバムとなっています。 ハードロックとは言っても、そんじょそこらにあるような凡百の類のものとは違う、相当に気合の入った内容で、若さにまかせたいきおいプラス東洋的で神秘的な雰囲気も感じられる内容です。 極端にディストーションのかかったヘヴィなギターとテカズ&オカズの多い渇いたドラムスがサウンドの核となっていますが、ヴォーカルがもうイタリアンしていて実にイイんすわ。 A-1は彼らの演りたかったであろう要素が凝縮されたハードロックになっていて、後半には水戸黄門フレーズもちゃんと収録されています。ハードなナンバーの畳み掛けてくる感じはスウェーデンのNOVEMBER(ノーヴェンバー)の1stに雰囲気がよく似ています。 また、ところどころアコースティックなナンバーも入っていて、A-2のようなナンバーは不思議な魅力を放っています。口で説明するのは難しいのですが、敢えていうならイギリスのBUDGIE(バッジー)の2ndあたりに収められているアコースティックの作品をもっと木霊っぽくしたかのような雰囲気で、霧にかすんだ森の奥からのお告げのような歌声です。 A面は全般的にハードな曲とアコースティックなナンバーの組み合わせが素晴らしく、何度聴いても飽きのこない充実した内容です。 そしてA面のラストを飾るナンバーが究極の突然変異で、『今まで演奏していたハードロックはいったい何だったの?』と言いたくなってしまう極上のバラッドナンバーとなっています。 はっきり言ってHUNKA MUNKA(フンカ・ムンカ)の『竹の大聖堂』なんか目じゃないです。 涙で顔面がぐちゃぐちゃになるくらい感動的な曲で、NEW TROLLSの『Concerto Grosso Per1(コンチェルト・グロッソ・ペル1)』を無理やり一曲に濃縮したらこんな感じになるとでもいうような名曲。 秋枯れのストリングス、泣きのギター、イタリア語感の崇高な歌声、そしてドラマティックな転調と劇的(意味いっしょ?)なドラムス。 これはきちんとしたバロック音楽の教育を受けて、子供の頃に遠足でバチカン市国にピエタを観に行く(ほんとかいな)ような経験を積んだ人たちにしかできない音楽です。 わけわからないけど、修学旅行で伊勢神宮へ天照大神を観に行った私のような日本人もいっしょになってこぶしを振り上げて歌ってしまいました。 ハードロックが苦手な方もこの1曲のためだけにこのアルバムを買う価値はあると思います。 (2003.12.10) |