第101回 STILL LIFE "Same Title" |
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STILL LIFE- "Same Title" |
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RARE度:★★★★★★★ |
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Member : |
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??? |
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Side (A) |
Side (B) |
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数あるVERTIGOレーベルのグループの中でも、最も謎に包まれていると言われているグループ。
『STILL LIFE』というグループ名は仲間内で『人生まだまだ』と、かなりめちゃくちゃな和訳をされて呼ばれていますが、正しくは『静物』。そんな静物画をイメージしたのか、表ジャケットには儚い花の写真、そして裏ジャケには対照的にどくろの写真という対照的なものとなっていますが、多くのプログレコレクターをイチコロにしてきただけあって、その内容もまた相当に素晴らしいものです。
A-1はVERTIGOレーベルを代表するプログレッシヴロックの名曲。静かなイントロ部分は、私なんかでさえ柄にもなく人生の悲哀なんかを感じてしまう程で、地味ながらも渇いた心の奥底まで水分がしみわたるような地味なヴォーカルが本当に良い味です。
まるでゆったりと流れてゆく小川のように曲は進行しつつも、切り立った崖とか滝も出て来たりで、途中から結構ドラマティックに展開していきます。そしてドラムスがヘヴィーに刻みだすと、ハードロックファンまでもが、すっかりイチコロ(そればっかか)。
ドラマティックな展開と言っても『どんなに派手に立ち振る舞っても着物の裾は乱れない』というような一定の気位の高さを崩さない感じが彼らの非凡なところで、サビの畳み掛け方なんかは、これ以上盛り上げても、これ以下に盛り下がってもいけないという絶妙なサジ加減がたまりません。はっきり『名盤』と言えるでしょう。
ハモンドオルガンというととかくヘヴィープログレ系の激しい使われ方が多い中で、こういう奥ゆかしい使い方ってのもいいもんです。不思議と私の中ではこのアルバムは冬のイメージで、こたつに入ってみかんを食べ、外の雪景色を見ながら冬独特の弱い陽射しの中で聴くのが私にはピッタリなんですよね。なんとなくくすんだ不思議な感覚がそういう印象を与えるのかも知れません。
70年代のプログレのアルバムって個性的なものが多いので、人から『どんな感じ?』と聞かれた時は普通『ハモンドがこんなで、ドラムスがこんなで』といった感じですぐに説明ができるのですが、このアルバムだけは本当に説明が難しいです。だからといって個性的ではないかというと全くそういうことではないんですが『あ、あれはいいっすよおお。』という月並みな言い方しかできません。
でもこの辺のアルバムにハマり出すと、もう普通の音楽には戻れなくなります。さあ、深遠なブリティッシュロックの世界がオトナな貴方を待っています!