第100回 CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWN "Same Title" |
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CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWN - "Same
Title" |
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RARE度:★★★ |
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Member : |
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Arthur Brown(vo), Vincent Crane(key), |
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Side (A) |
Side (B) |
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ATOMIC ROOSTERファミリーの作品の中でもその源流となっているアルバムで、これに優るインパクトのロックアルバムというのは今後も出てこないんではないかというくらい、歴史的な一枚。
私がまだZEPPELINだTHE WHOだと王道系のハードロックに夢中になっていた高校生の頃、私の心をとらえたのが、たまたま買った『FMファン』のハードロック特集でとりあげていた、『ブリティッシュハード幻の名盤』ATOMIC
ROOSTERの1stと、『最強のライヴアルバム』HUMBLE PIEの4枚目。
それからというもの、毎日毎日この手の廃盤を探して中古レコード屋をふらふらとさまよっていたのですが、ちょうどそんな頃に、これまた、たまたま見つけたこの手の専門店で、店員に『ATOMIC
ROOSTERぁ?まあATOMIC ROOSTERもいいけど、まさかARTHUR BROWNは持っているんだろうな。』と言われ、ブラウンといえばジャクソン・ブラウンくらいしか知らなかった私は『いやっ、ちょっと、すみません..。』と狼狽してしまい、『ナニッ?貴様、ATOMIC
ROOSTERの名を口に出しておきながら、ファイヤーも知らんのか!たわけ!』(どんな店だ..)と恫喝され、もうその場を早く立ち去りたかった私は何がなんだかわからないうちに、壁に飾ってあったARTHUR
BROWNのレコードを買って逃げるように帰ってきたのでした。
当時、同じような音楽を聴いている同級生の友人がいて、勿論2人はクラスで浮いていましたが、このレコードは、確か彼といっしょに聴いたように記憶しています。『ATOMIC
ROOSTERを買いにいったら、なんかようわからんけどこれを買えって言われたんで、とりあえず聴いてみるか…』
と恐る恐る針を下ろしてみたら、2人思わず目を合わせて『こっ、こっ、これはっ!?』。もう言葉にならないくらい素晴らしいサウンドに、ボクシングを15ラウンド戦った者同士のように思わず二人で抱き合った位です。
一曲目の『Nightmare』のイントロで既に足にきてしまい、立てなくなったところにハモンドの洪水。そして思いっきりアクセルをふかしたような、天空まで舞い上がる驚異のヴォーカル。いったい何人の人がこのサビで一緒に『わぁぁああああ』と歌ったことでしょうか。しかしこの人の歌声って本当に表情豊かで変幻自在ですね。高かったり、低かったり、怖かったり、優しかったりで、実に奥が深い。
そして『Fire』。イントロの叫び声が、えらいかっこいいでかんわ。『ぶれんぎゅうーっ!』でしびれた方、今度一緒に飲みましょう。大学の頃は留守番電話の応答メッセージのBGMにこの曲を入れていたのですが、内定先の会社から伝言が入っていた時はちょっと焦りました。(バブル期で良かった…。)
『Fire』は曲も勿論凄いんですが、実はこの曲にはBEAT CLUBのビデオが存在しておりまして、これがまた凄いんです。噂通り頭の上に火のついた冠を乗せてのパフォーマンスなんですが、これを見ていると『一体人生って何なんだろう?オレはこんなに平凡な人生を歩んでいていいんだろうか?』と自己嫌悪に陥ってきます。炎の冠ですからね。
レビューに戻ると、A面はずっとつながっているような曲想なんですが、後半になるとまた『Fire』のフレーズが不死鳥のように鳴り響いてきます。まるで孟嘗君の変幻自在の軍隊のようです。そして、最後は笑顔(というか不気味な笑い)でお別れです。
B面の頭もインパクト十分。Carl Palmerのドラミングが和太鼓風に破壊的に鳴り響くそのバックを冷静に奏でるVincent Craneのハモンドがまた不釣合いでなんとも言えません。Brown先生のヴォーカルアクトは相変わらずの圧倒的ぶりで、『もうこれは誰も勝てないな』と思ってしまいます。
最初から最後までずっとこんな感じなんですが、これ68年の作品なんですよね。当時彼はナンと24歳。35年近く前の作品がこうして未だにいろんな人達に衝撃と影響を与えつづけているのって、凄いことだと思います。
最初から最後までずっとこんな感じなんですが、これ68年の作品なんですよね。
35年近く前の作品がこうして未だにいろんな人達に衝撃と影響を与えつづけているのって、凄いことだと思います。