第92回 KINGDOM COME "Journey" |
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KINGDOM COME - "Journey" |
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RARE度:★★★★ |
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Member : |
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Arthur Brown(vo,bentley drum machine), Andy
Dalby(g,vo), |
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Side (A) |
Side (B) |
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『Fire』でブリティッシュロック界を席巻したARTHUR BROWNが、CRAZY WORLD解散後72年に結成したユニット、KINGDOM
COMEの3rdアルバム。
この3rdアルバムは、前衛的な感覚の強い1stや2ndに較べると最もプログレ寄りのサウンドで、広く名盤として誉れの高いものです。
プログレとは言っても、そこは鬼才ARTHUR BROWN。普通のプログレには終りません。
リズムボックスやメロトロンを実に有効に使ったサウンドは近未来的なスペース感覚に溢れたもので、まさに真夏の清涼剤。30年近く経った今聴いても、古さを感じさせないばかりかむしろ新しささえ感じさせる画期的な作品です。
この作品は朝聴いたらダメです。夜の暗闇とかそういう雰囲気なので、聴くなら絶対夜。
特に心臓の鼓動のようなリズムボックスの響きから始まるA-1で、冷ややかなシンセサイザーの波とBrown氏の熱い歌声が絶妙のバランスを保っており、聴いているものを神秘の世界に導いてくれます。
遊園地なんかで『○×宇宙旅行ツアー』みたいなアトラクションに乗った時の、あの異次元感覚に近いものがあります。言うならば気分はすっかりギャラクシーって感じでしょうか。
聴いている途中で玄関のチャイムが鳴って『宅急便で〜す。』などと言われると最悪です。ハッと現実に戻されてしまう、そんな曲ですね。
17年後でしたっけ?まるで映画『アルマゲドン』のように隕石が地球にぶつかる可能性があって、映画さながらの事態もおこりうるってニュースでやっていましたが、もし私が守備良く宇宙に脱出でき、大気圏を無事にくぐり抜けて宇宙の大海原に出た暁には(自分は助かるつもり)地球をはるかに望みながらワイン片手に(そんなことできるのか)『Time
Captive』と洒落こみたいものです。
このアルバムのもうひとつの聴き所は後にイタリアで大成する(?)ことになるVictor Peraino氏のメロトロンです。
この人の奏でるこれまたスペースチック(そればっかか)なメロトロンと泣きのギターが絶妙のブレンドです。メロトロンと泣きのギターってなんでこんなに合うんでしょうかね。カラスミと日本酒、球場で食べるヤキソバと生ビール、それくらいの相性の良さです。
このアルバムではそこにリズムボックスが絡んでくるので、これが更に独特の味付けになっています。
昔はシンセが入っているというとそれだけで聴かず嫌いしてましたが、結局どんな楽器を使っていようとも良いものは良いということを痛感させられた一枚です。
しかし、表ジャケの神秘性とは全く逆のイメージの裏ジャケが、これまた実は凄いんです…。