第89回 THE WHO "Who’s Next" |
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THE WHO - "Who's Next" |
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RARE度:★ |
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Member : |
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Roger Daltrey(vo), Keith Moon(ds), John
Entwistle(b,vo), |
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Side (A) |
Side (B) |
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昨日(2002年6月28日)、THE WHOのJohn Entwistleが急死したというニュースが飛び込んできました。
『KeithとともにTHE WHOは死んだ。』と以前Pete Townsendは言っていたことがありましたが、2、3年前からオリジナルメンバー3人で再結成に近い形で精力的な活動を再開していただけに本当に残念でなりません。
あのMy Generationの鳥肌を押さえられないベースソロや、My Wifeでの歌声、Summer Times
Bluesでの合いの手、その全てが永遠に聴くことができないものになってしまったことが未だに信じられません。
THE WHOのアルバムは本当にどれもが素晴らしく、機会があれば全てを紹介したいくらいなんですが、Johnのことを偲ぶとなるとやっぱりMy
Wifeの収録されているこのアルバムになるんでしょうか。
彼等の初期のアルバムは、スインギングロンドンを彷彿とさせる怒れる若者的なエネルギッシュな内容のものが多いのですが、このアルバムくらいになるとアルバム全体としてもとてもまとまりが出てきていて、ワールドワイドな成功をおさめた作品でもあります。
だからといって初期の作品よりもこっちの方が良いとかそういう訳ではありませんが。
このアルバムのA-1、A-4はTHE WHOのスタンダードナンバーとして、その後のステージでも数限りなく演奏されているもので、A-1なんて『ロックミュージックこそ勇気のしるし』(なんじゃそりゃ)と思わず立ちあがってしまうような昂揚感に満ちていて、もうひとつの奇跡ですよね。
この曲、彼等の映画『THE KIDS ARE ALRIGHT』でライヴ映像を見ることができるんですが、これを見て痺れた人って一体何人いるんだろうって思います。
THE WHOというグループの魅力が全て詰まった素晴らしい作品です。
私、実は2000年の夏にアトランタまでTHE WHOのコンサートを見に行ったんです。
本当はロンドンのマーキークラブ(ってまだあるのかな)くらいに見に行きたかったんですが、私の日程的にどうしても合わなくて、それでも日本嫌いの彼等が来日するとは思えないし、3泊5日という恐ろしいスケジュールで、それも何の知識もないアトランタへ…。私にしてはかなり思いきった計画だったんですが、今となっては、本当に本当にわざわざ見に行っておいて良かったなあと思います。
その時のステージではこの曲が一番盛りあがったんですが、びっくりしたのはあの前半のPeteのヴォーカルの部分、会場全員で合唱になったんです。
『オーンリー、ティーンエーイジ、ウェーストラーン』と会場全員がPeteになった瞬間でした。
感動で私は前が見えなくなりました。あれは死ぬまで一生忘れることはないだろうなぁと思います。
私の前の席に座っていたのは50代位のオヤジと10代前半の親子(だと思います)で、この曲を2人して合唱してました。
こんなの日本じゃ考えられないですよね。
そしてA-4のMy Wife。
Johnを偲んで、世界中でこの曲がかかっていることと思います。
もう曲の出来とかメロディがどうこうというより、ロックのスタンダードですよね、この辺になると。
この曲数々のライヴバージョンがありますが、個人的に一番凄いと思うのが、編集盤『Two's Missing』に収められている71年のライヴ。
Keithのバスドラ刻みも凄いですが、濁流のようなJohnのベースが圧巻です…。
心からご冥福をお祈り致します。