第84回 HARD STUFF "Bulletproof" |
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HARD STUFF - "Bulletproof" |
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RARE度:★★★★ |
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Member : |
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John Cann(g,vo), John Gustafson(b,vo), Paul Hammond(ds) |
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Side (A) |
Side (B) |
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HARD STUFF、『固い物』『激しい物』とでも訳すのでしょうか。ATOMIC ROOSTERファミリーの中では最もオーソドックス&正統派のハードロックバンド。『弾痕』が残るジャケット写真は如何にもタイトル通りのハードロックを彷彿とさせるもので、3人ともなかなか渋い腕達者な感じがプンプンとしていてなんともたまりません。
このグループは元ANDROMEDA〜ATOMIC ROOSTERというまるで開成〜東大のような超エリートな経歴を持つJohn
Cannと本当はCarl Palmerより凄いんじゃないかという超絶ドラマーPaul Hammondが、元QUATERMASSのJohn
Gustafsonと結成したトリオグループです。
John Cannがギターとヴォーカルを演っているというと、相当ANDROMEDA色が強いんじゃないかと思いがちですが、Gustafsonの色がなかなか良い中和効果となっている事に加え、ブルース色の薄さがこのグループ独特の味を出すことに成功しているようです。もう少し分かりやすくいうとANDROMEDAが前田、佐山の第一期UWFとしたら、こちらは高田、山崎のUWFインターナショナルという感じで、より多くの人に門戸を開いた感じがします。(全然わかりやすくないっちゅうの)
さて内容にいってみましょう..。
A面1曲目。いきなりこのグループのこのアルバムにかける意気込みが伝わってきます。授業の始業時間のベルがなったので慌てて階段を駆け下りている、といった感じの気忙しさとスピード感が最高です。『いやあ、流石ハードロックファンの気持ちを良くわかっている!』という実に通好みの大人の味ですね。しかもヴォーカルにディストーションがかかっているのも面白い効果となっていて、本当に70年代のブリティッシュロックというのは楽しませてくれるなあと痛感させられます。
全般的にA面は縦ノリが続くのですが、ヴォーカルのエフェクト効果も去る事ながら、ドラムスの『本当はオレはもっと凄いプレイができるんだけどわざと控えてみました。でも本気出せばその辺のイキった若造よりは全然ウマいんだぜ。』的余裕プレイが実に良いんです。(MICHAEL
SCHENKER GROUPでのCozy Powellがそんな感じでしたね。)
調和を重視していたA面に較べるとB面はソロプレイのアピールが幾分多くなっているような感じがします。特にB-1のJohn Cannのギターソロは鼻血ブーですね。(なんて下品な、というより古い表現!)
でも今聴きなおしてみるまで気づかなかったんですが、このアルバム、スローな曲(バラッドとか)がないんですね。全曲ハードロックです。かのTHREE MAN
ARMYやLED ZEPPELINの1stでさえゆっくりとした
ナンバーが収められていたことを思うとこれはなかなか珍しいことなのか
も知れません。
それでいて、全部通して聴いて聴き疲れないというのはきっと曲が良いからなんだ、と思ったところで、今日はおしまいです。