第82回 GIFT "Blue Apple" |
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GIFT - "Blue Apple" |
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RARE度:★★★★★ |
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Member : |
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Dieter Atterer(g,vo), Rainer Baur(g), Dieter
Frei(key,vo), |
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Side (A) |
Side (B) |
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どろどろしたゲルマンハードロックの中でもかなりブリティッシュロックよりの内容の作品を有する、GIFTの2ndアルバム。
72年に発表したデビューアルバム、そしてここで紹介する2ndともに水準が高く、かなりタイプの違う2枚ではありますが、どちらも必聴です。
1stの方は、暗重色(なんて読むんだ??)が強く、それはそれは通好みのサウンドとなっているのに対し、この2ndはもう少し広く門戸を開放したような親しみ易いサウンドとなっていて、ガード下に入ったことのないイチゲンさんでも大丈夫ですので、1stを聴く前に先ずはこっちを聴くのが良いでしょう。
また1stにはなかったキーボードが加わっているのですが、音的には東京ドームとか西武ドームとかで野球の試合の最中に時々流れている系のやつでして、それがどの曲にもなかなか良い感じでハマっており(私もハマっており)、殺風景になりがちなサウンドを見事に飾り立てています。
もう少しわかりやすくいうと、DEEP PURPLEのMachine Headの中で聴かれるJohn Lordのヘヴィーオルガンっていう感じでしょうか。
ただ、ジャーマンロックを追求している人というのは、もっとコアな感じのものを求めている人が多いでしょうから、このややもすると世俗的でわかりやすい雰囲気はそういう人には受け入れられないかも知れないですね。
そういうコアなのを求めている人にはこちらよりも1stの方がお薦めです。
さて、内容の方ですが、まず真っ先に『おっ、曲がいいね!』と思われた方・・・、そう、アタリです!(なんのこっちゃ)
A-1はちょっと軽い食前酒、シャンパンのような軽快なナンバーで幕を明けます。
まあ一気に濃い酒にいくよりも空腹にはこういうのが先にあった方がいいですね。
しかもこのA-1はタイトルナンバーであるにも拘わらず、さっぱりとした曲になっているあたり、なかなか奥ゆかしくってメンバーの人柄がしのばれます。
普通、タイトルナンバーというとついつい力入っちゃいますもんね。
聴きすすめていくにつれ、どの曲もよく練られているなあ、という感じですが、A面ラストに必殺曲が収められていて、これは結構燃えることができます。
土曜日の夜とかに酒飲んで盛りあがって、さてラストを飾るには..といった時にピッタリのナンバーです。(近所迷惑だっちゅうの)
思わせぶりなキーボードの調べ。そして、その静けさを突き破るように登場する、ヴァンダレイシウバのラッシュを彷彿とさせるような高速ドラムス。更にキーボードとギターの鼻血の出るような(『火』じゃないのか)インタープレイ。いやあ、ハードロックっていいもんなんですねぇ。
そしてB面はというとB-2とB-3のコンビネーション。同じ曲を違うアレンジで2回演っているんですが、これが実にイイ。
結婚式の披露宴の衣替え、もといお色直しのような感じで、『曲っていうのはアレンジひとつでこんなにも違うものなのか。』とひとつ大人になった気分(?)。
大根足ならぬ青リンゴ尻(ってドイツではいうんでしょうかね)のジャケットがちょっとミーハーっぽいですが、FRUMPYの2ndにも負けないジャーマンハードの名盤。
ハードロックが好きな人全員に聴いてもらいたい作品です。