第69回 MAGMA "Live" |
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RARE度:★★★ |
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Member : |
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Christian Vander(ds), Klaus Blazquiz(vo), Stella
Vander(vo), |
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Side (A) Side (B) |
Side (C) |
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フランスを代表するプログレッシヴロックグループ、MAGMAです。
プログレファンの方の中でも、このMAGMAという名前を聞いたことのある方は相当マニアックな方だと思いますが、数あるプログレの中でもここまで個性的な存在というのは本当に稀有であるといえます。
彼らは自分達を惑星マグマからの使者であると称していて、その作品は自分達で作り出した独自の言語「コバイア語」で歌われており、デビュー作から順番に発表されていく作品は、全て「コバイアストーリー」なる物語に基づいたコンセプトとなっているといわれています。(こんな人達と飲みに行ったらさぞかし面白いんでしょうね..)
私は恥ずかしながらこのコバイアストーリーについてはよく知りませんし、このグループについては相当コアなファンの方が多数いらっしゃるようで、ヘタなことは書くと外を歩けなくなりそうですから、その辺りのことについてはその手の方にお任せし、ここでは割愛させて頂きたいと思います。
彼らのアルバムは殆どの作品のアルバムジャケットに、みかんの皮をむいたようなマーク(おいおい、もうちょっと他に言い方ないのか)がデザインされていて、どれも良く似た感じの雰囲気なので正直言ってどれから聴いたら良いのかよくわかりませんでした。
その中から私が最初に選んで買ってみたアルバムは、赤っぽいジャケットの「Kohntarkosz」。(『元プリ』同様私には読めません!) ’代表作’だと、何かの本(ってマー○ーしかない)で書いてあったのが選んだ理由ですが、それを聴いた印象と言えば、なんか凄そうだなというのが伝わって来ると同時にちょっとヤバそうな世界だなと少しひいてしまったのもまた事実といったところです。
そのアルバム「Kohntarkosz」のA面に収録されている曲を、レコード1枚(A面とB面)を使って演奏しているのが、今回ご紹介する2枚組ライブ盤です。この演奏内容が、スタジオ盤を遥かに凌ぐ凄まじさです。ここまでのテンションを持ったロックのライブ盤というのはそうそう存在しないんじゃないかというくらい凄いです。
A面の出だしは「デ〜レ〜ソ〜ロ〜ボ〜」(ホントにこう聞こえるんです)という、あとあとまで尾を引くヘンテコリンな呪文がヘヴィーなリフにのって繰り返され、そしてその呪文が段々早くなっていくのです。それはまるで走り高飛びの助走のような、バーに近づくにつれて歩幅が短く早くなっていくあの感覚を思い起こさせてくれます。聞いているだけで実際に息も上がっているのかもしれません。
そして、この呪文が終ると今度は延々と続く、「ド〜、レ〜、ミ〜..」(ホントなんですって)の反復運動がやってきます。決して戻ることのできない階段を段々と上り詰めていくような感覚は、やった事はなくとも、『これぞクスリをやりながら聴く音楽だ』と断言したい位です。
クスリをやりながら聴く音楽というとサイケデリックなものを想像されると思いますが、彼等の場合はそんな腑抜けた音楽ではなく、超ド級ヘヴィジャズロックとでもいうような腕前なので、シラフで聴いても興奮間違いなしでしょう。
そしてB面の中盤あたりからエンディングまでが大爆発です。この爆発ぶりは本当に凄く、COLOSSEUMが発狂したような迫力です。
このグループのリーダーのChristian Vanderのドラミングは特筆ものの内容で、これはもしかしたらこの手のものとしてはJohn
Hisemanを凌ぐかも知れません。また客演のヴァイオリン奏者Didier Lockwoodのプレイも更に油に火を注ぐ(ぎゃくぎゃく)ような結果となっていて、聴き終わった後の爽快感たるや、ちょっと筆舌に尽くしがたいものがあります。
プログレッシヴロックとして語られることの多い作品ですが、ハードロック系の人に是非お薦めしたいアルバムです。特に演奏水準にうるさい耳の肥えた人にはお薦めです。
また、そのどちらに属さなくとも、スカっとしたいときにヘッドフォンでB面を大音量で聴くとこれが抜群の効果で、ストレス発散できること間違いなしですので一度お試しになられてはどうでしょうか?
そして、所謂、『キレやすい』若者方にお聴かせすると、未知の音に触れる事で、ある種の音ヒーリング的効果があるのではないかと思ったりもしますが。 (逆効果の方が凄かったりして。)