第57回 BRIDGET ST.JOHN "Jumblequeen" |
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RARE度:★★★ |
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Member : |
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Bridget St.John(vo), Chick Churchill(key), Dave Winter(b), |
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Side (A) |
Side (B) |
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ブリティッシュフィメールシンガーの中でも、この人の歌声は本当に個性的です。
この人は外見もあんまり女性っぽくなく、ジャケットの顔写真なんかELPのKeith
Emersonのようで、試聴せずにこれを買うのは相当勇気がいることと思います。
フィメールフォークファンが求めて止まないあの透き通るような天上の響きというのも勿論素晴らしいのですが、そういうのだけがフィメールの魅力ではない、ということを痛感させられます。
このささやきのような朗読のようななんとも言いがたいハスキーヴォイスは、数あるブリティッシュシンガーの中でも唯一無二のものです。
A-1のようなややアップテンポなナンバーでさえも、この声で歌われると不思議な感覚の曲になります。
曲から感じさせる雰囲気は間違いなくブリティッシュなんですが、なんとなくアメリカの古き良き時代の下町を自転車に乗って牛乳配達しているような、そんな風景が目に浮かんできます。
続くA-2の静かで奥ゆかしいこのアコースティックの調べ、それに導かれて控えめにささやくこの歌声、これはたまりません。
そしてA-3。これはA面の中のハイライトと云って良いでしょう。
メロディラインからわざとちょっとずつ遅れて歌うところなんぞは、まるでJimmy
Pageのアキレス最期の戦いヘタウマギターソロのようで、実に味があります。ヴォーカルのアドリブプレイといったところでしょうか。
1小節歌い終わった後の声の伸ばし方というか引っ張り方が、五臓六腑にしみわたる歌い方で、私なんか気がつくと一緒に歌ってしまっています。
普通の状況で一緒に歌うだけならまだしも、ヘッドフォンで聴きながらこんな歌を歌っていると、まわりにいる人間はさぞかしつらい想いをしているだろうなあと、考えただけでイヤな汗が流れてきます。
B面もたんたんと木漏れ日の中を歩いていくような展開が続きますが、タイトルナンバーのB-3が絶品です。
静かな盛りあがりの部分のところなんてハンモックでゆられながら耳元で歌われたりしたら、例えどんなに昼寝した後であっても、うたたね間違いなしという内容です。
いつ聴いてもこの曲は本当にとろけてしまいます。
彼女は何枚かアレンジの異なるアルバムを出していますが、この作品が彼女の歌をもっともよく生かしているんじゃないかということで私は一番好きです。バックの演奏もそんなにでしゃばっていないし、彼女の歌をゆっくり堪能できるところが好感が持てて良いと思います。