第51回
THREE MAN ARMY
"A Third Of A Lifetime"
THREE MAN ARMY - "A Third Of A
Lifetime" RARE度: ★★★★★ |
Member : | Adrian Curtis(g,key,vo), Paul Curtis(b,vo),
Mike Kelly(ds) |
Side (A) 1. Butter Queen 2. Daze 3. Another Way 4. A Third Of A Lifetime 5. Nice One |
Side (B) 1. Three Man Army 2. Agent Man 3. See What I Took 4. Midnight 5. Together |
ブリティッシュハードロック界にリフ攻撃という革命をもたらしたGUNは2枚のアルバムを発表後解散、このTHREE MAN ARMYに発展していきます。
彼らはGUN以来徹底的にトリオにこだわっていますが、ここにきてついにグループ名までもがそれを強く意識したものとなってしまいました。
このアルバムは1stにあたるもので、GUNのラストアルバムから2年しか経っていないにも拘わらず、音楽面での著しい成長には目を見張るものがあります。
この辺の感じは、YARDBIRDSがLED ZEPPELINになって極端に音が変わったのとよく似ています。
この時期のハードロックバンドというのはだいたい1970年を境にして、ビートグループから本格派ハードロックグループに脱皮するというパターンが多く、今回の場合もその典型的な例だと言っても良いでしょう。
GUNの時と比べて、ハードな曲は相当スケールアップされており、それはA-1のイントロを聴いただけでもよくわかります。
このA-1はスピーディーな曲展開といい重厚なリフ攻撃といい、ブリティッシュハードの決定版ともいっていい内容で、史上空前の切れ味を誇っております。
また、この後のアルバムでもよく見られる彼ら独特の手法ですが、間奏の途中に短く挿入されているドラムソロもテクニカルで小気味良く、大変魅力的です。
また、この曲だけはBuddy Milesという人がドラムスを担当しているようですが、これが相当な技量の持ち主で、特にエンディングのドラムスのおかずが横殴りに決まるかっこよさは他に類をみません。
Gurvitz兄弟の影に隠れてあまり目立ってはいませんが、ドラムスのテクニックも侮れません。
更に、このレコードが名盤といわれる所以は、ハードな曲のかっこよさだけでなく、A-4、B-5等に代表されるのバラードの美しさにあります。
アコースティックの爪弾きが見事なメロディを奏でるA-4は、『ハードロックの名盤に、バラードの隠れた名曲あり』という諺を私が初めて意識した曲でもあります。
しかもこの曲がタイトルナンバ−になっているという点もなかなか興味深いものがあります。
それにしてもGurvitz兄弟って、GUNとかARMYとかそういう言葉がグループ名に使われるあたりから察するに、『銃』や『アーミー』やなんかが、相当好きなんだなあと思います。このアルバムなんかジャケットのデザインまでも銃の絵だし。
彼らのリフ攻撃というのは、ひょっとしたら銃撃音を意識したところからでてきているのかも知れないですね。
80年代後半に出ていた『ルーツ・オブ・ブリティッシュロック』という本にGUNと一緒に掲載されているのを見た事がこのアルバムの存在を知るきっかけだったのですが、いきつけの中古レコード店でこれを見つけた時にはとても感激したもんです。(そればっか)
いつものように試聴させてもらおうと思ったら、『こんなもんイイにきまっとるから、聴かんでもええって』と店長さんに言われてしまい、『ハァ、そうっすか..』とすごすごと購入した思い出深いアルバムでもあります。
今となっては、私が試聴を頼まれても、自信を持って『聴かんでもええ』と言えちゃう一枚です。