第50回
SANDROSE
"Same Title"
SANDROSE - "Same Title" RARE度: ★★★★★★★ |
Member : | Rose Podwojny(vo), Jean-Pierre Alarcen(g),
Christian Claireford(b), Henri Garella(key,mellotron), Michel Jullien(ds) |
Side (A) 1. Vision 2. Never Good At Sayin' Good-bye 3. Underground Session (chorea) |
Side (B) 1. Old Dom Is Dead 2. To Take Him Away 3. Summer Is Yonder 4. Metakara 5. Fraulein Kommen Sie Schlaffen Mit Mir |
『サンドローズ』と聞くとメジャーリーグの球団か何かのようですが、実はフランスのプログレッシヴロックグループです。
このグループが話題になったのはユーロロックが脚光を浴びはじめた80年代になってからの事だと思います。今でこそブリティッシュ以外のプログレの人気は下火になってきていますが、当時はイギリス以外の国にもプログレが存在する、という驚きと物珍しさも手伝って西新宿と目白ではイタリアを筆頭に非イギリス音楽が大変な盛りあがりをみせていました。
このグループのオリジナル盤はかなりのレア盤なんですが、当時のフランスの再発名門レーベル『ムゼア』というところから、オリジナル仕様の見開きジャケットで再発され、日本でも数多くのファンの方に行き渡ったことと思います。
土日ともなろうものなら、このグループの再発とイタリアのMUSEO ROSENBACHの再発をエサ袋に入れて家路を急ぐ人々の姿が目白通りのあちこちで目にすることができました。(ほんとかよ)
このレコードはジャケットデザインが地味で今ひとつなので、購買意欲がなかなかそそられないというのがこれまた要注意なところでして、実際に中に詰めこまれている音はジャケットとは全然違うそれはそれは素晴らしい内容で、プログレマニアが求めてやまない3つの条件(『女性ヴォーカル』、『メロトロン』、『大作指向』)を全て兼ね備えた、3高(古い?)のようなレコードでもあるのです。
女性ヴォーカル入りのプログレの傑作としては、イギリスのAFFINITY、DELIVERY、オランダのEARTH&FIRE等にも十分匹敵する内容で、曲の良さという点ではAFFINITY以上の哀愁に満ちています。
AFFINITYがハモンドであるのに対し、こちらはメロトロンがメインとなっているという点も好対照です。
『メロトロンの洪水』とはよく言ったものですが、ここまで洪水が氾濫しているレコードも珍しいんじゃないでしょうか。
その氾濫ぶりといったら、もう映画『ジュマンジ』のクライマックスのようです。
また、もうひとつ忘れてはならないのが、女性ヴォーカルです。
この人の声はハード系ともフォークトラッド系とも違う独特の声で、できの悪い亭主に何かを懇願するかのような、また時にはできの悪い子供に優しく諭すかのような(なんか台無しだな..)実に艶やかなでウェットな声で、絡みついてくるような感覚が最高です。
女性ヴォーカルとプログレッシヴロックに少しでも興味のある人は絶対に持っていなければならないマストアイテムといえるでしょう。