第43回
IRON BUTTERFLY
"In-A-Gadda-Da-Vida"
IRON BUTTERFLY - "In-A-Gadda-Da-Vida" RARE度: ★★ |
Member : | Erik Brann(g) , Lee Dorman(b,vo) ,
Ron Bushy(ds) , Doug Ingle(key,vo) |
Side (A) 1. Most Anything You Want 2. Flowers And Beads 3. My Mirage 4. Termination 5. Are You Happy |
Side (B) 1. In-A-Gadda-Da-Vida |
IRON BUTTERFLYというグループはアメリカのグループで、67年に『HEAVY』というアルバムでデビューし、このアルバムは2ndになります。
このIRON BUTTERFLY(アイアンバタフライ)というグループ名には、なんだかマイナーな響きがあって、マニア心をくすぐるものがあると思いませんか。
『どんな音楽が好きなんですか?』と聞かれた時に『う〜ん、まあいろんな音楽聞きますけど、一番好きなのはアイアンバタフライとかかな..』と答えれば、きっと一目置いてもらえることでしょう。
ここで紹介する2ndアルバムは彼等の最高傑作といわれている作品ですが、68年ということもあって非常に時代を感じさせる内容です。
彼等の場合、キーボードが前面に出ている分、アメリカのこの時期のゴリゴリのハードロックバンドとは一味違うサイケデリック色の強いサウンドが特色です。
ただ、そのキーボードの音色がいかにも60年代していて、フラワームーヴメントというかヒッピーというか、そういうのが好きな人にはたまらない音ですね。
あのDOORSなんかで聴くことのできるピロロロというちょっと暗闇の雰囲気のする音色といえば、わかって頂けるでしょうか。
A面はモロにサイケデリックの小品集という作風なのですが、意外とどの曲も歌メロが良いのであまり陳腐な感じにはなっていません。
特にA-1の後半のオルガンの旋律なんかはとても印象的で、電車にのっている途中にふっと思い出してしまったりすると、その日一日中時寝るまでずっとそのフレーズが頭から離れないというような魔力を持っています。
このアルバムを有名にしたのは、まだプログレッシヴロックというものが存在していないこの時期に、B面に1曲しか入っていないというところじゃないかと思うんです。
68年でB面が1曲だったらさぞかし音楽誌で話題になったんだろうなぁと思います。
B面がたった1曲とはいえ、プログレのようにドラマティックに展開するトータルコンセプトな作りになっている訳ではなく、サイケらしく延々と同じリフが続くきます。
ベース演奏者からしてみるとこんなにも延々と同じリフを弾くというのは、もうちょっと勘弁してくれ、という感じでさぞかし大変だったんだろうじゃないかと、頭が下がります。
(ライブではもっとつらかっただろうな..『またこの曲やるの?』って感じで)
この頃でいうと、イギリスのCREAMの3枚目に収録されているライブなんかで片面2曲とかいうことをやっていて、途中ドラムソロを挿入して、だらだらともとい延々とやって話題になったりしたのにも少なからず影響を受けて意識していたんだろうなぁという感じがします。
有名になるだけあって、確かにリフ自体はそれなりに出来がよく、GRAND FUNK RAILROADの『孤独の叫び』なんかが好きな人には、きっと気に入って頂けるんじゃないかと思います。
またヴォーカルはなかなか深みがあり、しかも顔を見なくても容易に髭ズラが想像されるような雰囲気の声で、この曲の魅力のひとつとなっています。(ただ最初と最後にしか登場しませんが)
完成されたプログレシッヴロックばかりではなく、たまにはこんな未完成で古めかしいアルバムを土曜の午後あたりに聴いてみると、気分転換にはいいなと思います。