第34回
CERVELLO
"Melos"
CERVELLO - "Melos" 1973 ITALY RICORDI SMRL6119 (Heavy Progressive Rock) RARE度: ★★★★ |
Member : | Corrado Rustici(g,vo), Giulio D'ambrosio(flute),
Gianluigi Di Franco(vo), Remigio Esposito(ds), Antonio Spagnolo(b,violin) |
Side (A) 1. Cant Del Carpo 2. Trittico 3. Euterpe |
Side (B) 1. Scinsione(T.R.M.) 2. Melos 3. Galassia 4. Affresco |
邪悪な感じのイントロの幕開けに血湧き胸踊りますが、更に妖しげな混声合唱が入ってくると、これはただ事ではないなと思わず正座せずにはいられません。
日本でも有名なギリシア伝説『走れメロス』を題材とした作品のようで、トータルコンセプトな作りとなっているようです。(残念ながら歌詞がチンプンカンプンなので詳しくはわからないのですが)
CERVELLOは、イタリアプログレシーンを語る時には絶対にはずす事のできないOSANNA系列から派生し、超絶速弾きハイテンション型ギターCorrado Rusticiが中心となって結成されたグループです。
また、このアルバムはCERVELLO唯一の作品で、OSANNAファミリーの中でもひとつの頂点を極めたイタリアンプログレ5指に数えられる芸術的名盤です。
ジャンルとしてはプログレッシヴロックに分類されるのでしょうが、簡単に一言で言い表せるような作風ではなく、聖書とか神話とかそういった超越的なものを感じさせるイタリアでしか存在しえないような作品で、この世に2つとない音楽と思った方が良いでしょう。
全編に亘って登場するフルートの美しい調べと優しい歌声の味わい深さは筆舌に尽くしがたく、メロディが良いので聴いていてとても切ない気分になってきます。
それとは対照的に、盛りあがる部分ではヘヴィなリズムセクションをバックにサックスと超絶ギターがユニゾンで全力疾走で高波のように湧きあがり、そうかと思うと混声合唱も登場するという信じられないような組み合わせになっています。
演奏水準だけで言えば、ギターのテクニックが特に素晴らしくJeff Beck並みの腕前なので、いつヘヴィメタの連中から目をつけられてもおかしくありません。
とかくギターのCorrado Rusticiばかりがクローズアップされることが多いのですが、実はドラムスのテクニックも相当なものでJohn Bonhamがプログレを演るとこうなるんじゃないかというような感じです。
表面的な演奏面/技術的な面だけに着目した場合、ヘヴィな箇所で展開する圧倒的な重量感が極端に出来の良いハードロックを彷彿とさせるので、試聴した際にはHRファンが『おっ!』と思って買っていくようなケースもあるかも知れません。が、聴きこめば聴きこむほどにこのアルバムの真意は別のところにある事に気がついてきます。
ロックの形態をした神話とでもいうのでしょうか、キリスト信教的な何かとてつもなく神聖なものがアルバムの奥深くに潜んでいて、ロックという表現方法は単なる手段のひとつでしかないのではないかと思います。
サンピエトロ大聖堂、システィーナ礼拝堂等でステンドガラスを見ながら真摯な気持ちで聴けば何かが見えてくるのかも知れません。
ドラッグとかセックスとか暴力とか、あとカラオケとか(ん?)そういうものとは全く正反対に位置する音楽で、決して首都高の渋滞中に聴いたりする類のものではないと思います。
ジャケットは、謎の缶詰を開けてタラコを取り出している写真となっており、オリジナルは缶のところが手前に開くようになっています。缶の内側にはメンバーが蜘蛛の巣に絡まって悶絶しているのですが、これが何なのかはよくわかりません。
(こんな感じです。)