第32回
BLACKMORE'S RAINBOW
"Rainbow Rising"
BLACKMORE'S RAINBOW - "Rainbow Rising" 1976 UK OYSTER 2490 137 (Hard Rock) RARE度: ★★ |
Member : | Ritchie Blackmore(g), Ronnie James Dio(vo),
Cozy Powell(ds), Jimmy Bain(b), Tony Carey(key) |
Side (A) 1. Tarot Woman 2. Run With The Wolf 3. Starstruck 4. Do You Close Your Eyes |
Side (B) 1. Stargazer 2. A Light In The Black |
約20年以上ロックを聴きつづけてきた私にとって、ハードロックで一番好きな曲はと聞かれた時、先ず真っ先に思い浮かぶのが、このアルバムのB面に収録されている2曲です。
RAINBOWというと硬派の初期とアメリカマーケットを意識した後期では随分内容に差がありますが、でもそんな硬派の初期の中でもこのアルバムだけは全く次元が違います。まるで大人と子供です。
俗に『三頭政治』といわれる、Ritchie Blackmore、Ronnie James Dio、Cozy Powellという最強のラインナップは第2期パープルと同じ、いやそれ以上のヴォルテージです。
この三頭政治時代の作品には『Kill The King』や必殺のライブも忘れてはなりませんが、やっぱりこれです。
こんな内容のレコードが新作としてレコード屋の店頭に並んでいた時代というのは本当に信じられないですよね。
『虹を翔ける覇者』という素晴らしい邦題がつけられていました。
A面の4曲もなかなかカッコ良いハードロックナンバーなのですが、それがウォーミングアップに思えてしまうほどB面は強力です。
大抵の人は先ずB-1の『Stargazer』で討ち死にすると思います。それもイントロのCozyのバスドラ連打で開始早々にダウンを喫する可能性があります。
聴いているうちについついステレオのヴォリュームをあげてしまっている、そんな無意識の貴方の姿が目に浮かびます。
カーステで聴こうものなら、誰にも聞こえないのを良いことに、恥も外聞もすっとんで『そおおっ、めにいだぁああい!』と大声で叫んでしまって、自分をコントロールできなくなった方も少なくないと思います。
この『Stargazer』というのは辞書でひいてみると『天文学者』という意味のようですが、高校生の頃は『スターゲイザー』とカタカナで書いてあったのを見て、曲調から勝手に意味を解釈して『う〜ん。恐らくこれは中世ヨーロッパの伝説上の猛獣かなんかなんだろうな。』と思いこんでいました。
ここまでスケールが大きくてドラマティックで、しかも一緒に歌えるハードロックの名曲というのはなかなか出会えるものではありません。カラオケボックスではRAINBOWというと『I Surrender』を見かける事はよくありますが、さすがに『Stargazer』を置いている店というのはなかなか無いようです。
話は変わりますが、大学の頃中国を一人で旅行したことがあって、その時に成都という都市で、あるイギリス人と知り合いメシを一緒に食べに行こうということになったのですが、英語がわからなくて全然会話にならなくて気まずい思いをしたことがありました。
でも急に話が、ロックの話になって、実はその人がこのRAINBOWの熱狂的なファンで『Rainbow Risingが何よりも好きだ。』と言い出してから急に意気投合してしまったんです。
Rainbow Risingが好きなイギリス人と日本人が成都で出会うなんて不思議ですよね。(なんのこっちゃ)
さて本題に話を戻すと、このアルバムが凄いのはこの曲が終ったからと言って安心できないところです。
B-2の『A Light In The Black』。これがまたホントに凄いです..。
こちらは一転してスピーディな展開で、しかもこれでもか状態のバスドラの連打。
このバスドラの連打が8分近くある曲の後半まで延々と続くので、聴いているこちらの足がだんだんつってきます。
これは大袈裟で言っているんではなくて本当にそんな感じです。
そして、これまた曲の後半のエコーがかかる部分でRonnie James Dioと一緒になって絶叫できるのがたまりません。
下手な酒飲みに行くよりよっぽどストレス発散できます。
ハードロックの方で、このアルバムを聴いたことがないという方は余りいらっしゃらないと思いますが、もしまだ耳にした事の無い方がいらしたら、『けっ。RAINBOWかっ。』等と言わずに是非聴いてみて下さい。間違いなくその後の人生が変わります。