第26回
TEN YEARS AFTER
"Ssssh."
TEN YEARS AFTER - "Ssssh." 1969 UK DERAM SML 1052 (Hard Rock) RARE度: ★ |
Member : | Alvin Lee(g,vo), Leo Lyons(b), Chick Churchill(key),
Ric Lee(ds) |
Side (A) 1. Bad Scene 2. Two Time Machine 3. Stoned Woman 4. Good Morning Little Schoolgirl |
Side (B) 1. If You Should Love Me 2. I Don't Know That You Don't Know My Name 3. The Stomp 4. I Woke Up This Morning |
ブリティッシュハードロックの巨頭TEN YEARS AFTERの最高傑作と誉れの高い4作目です。
TEN YEARS AFTERというとあのウッドストックでの活躍等、迫力あるライヴパフォーマンスが非常に素晴らしく、スタジオ盤は今一という評価を下されることが多いようですが、このアルバムだけはそんな評価を吹き飛ばしてくれます。
Alvin Lee(松平健に激似)の超速弾きギターと、Leo Lyonsの狂ったようなベースの掛け合いが延々と展開されるライヴでの凄まじさは相当キていますが、こちらはこちらでスタジオ盤ならではの安定した構成となっていてとても満足できる内容です。
アルバムタイトルの『Ssssh.』はシャンプーの名前からとったもので、『シュッシュ』と発音するらしいです。(うそくさいですが)
でもさすがにそんな邦題で発売される訳もなく、『夜明けのない朝』という邦題がつけられています。
ジャケットデザインは幽霊のような男が不気味に映し出されたもので、まるでBRAM STOKERのよう。(逆?)
A-1の出だしの所の、猫のけんかのような不思議なギターの音色で一瞬失敗したかと思いますが、ピアノとともにヴォーカルが『ムウウウウ』と盛りあがっていく様は、まるで宇宙戦艦ヤマトの波動砲のエネルギー充填のようで、これから始まるこのアルバムのパフォーマンスに胸が高鳴ります。
A面ラストのSonny Boy Williamsonの『Good Morning Little Schoolgirl』とB面ラストの『I Woke Up This Morning(夜明けのない朝)』が有名なので、逆にこの2曲以外は大丈夫なのかしらんとビクつく方もいらっしゃるかと思いますが、他の曲もキーボードが意外と良い味を出していたり、また楽曲としてもいろんなパターンの曲が入っていたりで、飽きがきません。所謂捨て曲はないと考えて頂いて結構です。
LED ZEPPELIN等のハードロックバンドと並び称されることが多いようですが、ハードロックで盛りあがりたい人よりもむしろ、渋いブルースロックでキメたい(何を?)というような貴兄にお薦めしたいアルバムです。
『Good Morning〜』だけはやはりライヴの迫力にはかなわないものがありますが、それにしてもこの曲は本当に色々なグループがカバーしています。(YARDBIRDSもやっていましたし)
その割にはどのグループのものでも、これはこのままカタカナで邦題になっている事が多いのでどういう意味なのかちょっと気になるところですが、さしずめ『おはよう、かわいい女学生』といったところなのでしょうか。(それにしてもダサい...)
ま、それはさておきB面ラストの『I Woke Up〜』がハイライトで、ハードロックの持つカッコ良さとR&Bの渋さが見事にマッチした彼等の代表曲です。聴いているうちに自然と頭が上下にゆっくり振られていくことでしょう。
TEN YEARS AFTERというグループ名は『10年後まで生き残る』事を目標としてベースのLeo Lyonsが命名したものですが、この後ワンパターンに陥ってしまい、実際には10年後を迎えることはできなかったようです。