第25回
THE WHO
"My Generation"
THE WHO - "My Generation" 1965 UK BRUNSWICK LAT8616 (Beat Rock) RARE度: ★★★★★★ |
Member : | Pete Townshend(g), Keith Moon(ds), Roger
Daltrey(vo), John Entwistle(b) |
Side (A) 1. Out In The Street 2. I Don't Mind 3. The Good's Gone 4. La-La-La-Lies 5. Much Too Much 6. My Generation |
Side (B) 1. The Kids Are Alright 2. Please Please Please 3. It's Not True 4. I'm A Man 5. A Legal Matter 6. The Ox |
私がブリティッシュロックのレコードにハマるきっかけとなったのが、高校時代にたまたまFMで聴いたこのTHE WHOのライヴで、その時かかっていた"Summertime Blues"の迫力の凄さに『昔のロックってこんなにも生々しくてカッコいいのか..』と、すっかり心を奪われてしまいました。
今から思えば16才の自分にはあまりにも刺激が強すぎたのだと思います。
ここで紹介するデビューアルバムは、15年くらい前でも相当のプレミアムがついていて、それでもどうしても欲しくて欲しくてたまらなくて、2度の飯(当時は3食食べていなかったので)を1度に減らして、レコード1枚に初めて5桁の金額を使いました。
このレコードを買ってからというもの、変に自分の人生に自信がついてしまって、友人としゃべっている時とかでも『でもまあそうはいうけど、THE WHOの1STのオリジナル持っとるのは、多分俺だけだし..』という全く意味不明の自意識過剰になったりしたものです。
前置きが長くなりましたが、65年というハードロックの前夜以前に発表された作品であるにもかかわらず、実に35年以上経った今聴いても全く色褪せていないこの迫力は一体なんなんだろうと改めて感心させられます。
まだハードロックというスタイルさえ確立していないこの時期に、ここまでワイルドでエネルギッシュな作品が出来あがった事自体、ひとつの奇跡といっても良いかもしれません。
この種の60年代サウンドは一般的に"BEAT ROCK"といわれていますが、その中でもSMALL FACESのIMMEDIATEの1STと、このTHE WHOの1STはもう別格中の別格、三国志でいう伏竜・鳳雛みたいなものです。
今では神話的存在となってしまったYARDBIRDSのアルバム等と較べると音楽的な面では一歩譲るかも知れませんが、ロンドンっぽさという点ではこのTHE WHOに勝てるバンドはいないのではないでしょうか。
テクニックどうこう以前にこの暴動のような勢いとパワーだけで一気に行ってしまうモッズの主題歌"My Generation"の八方破れ具合は60年代のロックの中でも最強のパワーです。
これに較べると70年代後半のパンクロックなんぞはかわいく見えてしまう程です。
THE WHOのその他のアルバムというと、一大ロックオペラ"Tommy"、映画『さらば青春の光』の"Quadrophenia(四重人格)"、まとまりが良く名盤の誉れ高い"Who's Next"等が有名です。
70年代の作品は確かに音楽的には完成度が高いのですが、本作を始めとする60年代のアルバムはまとまりのない分逆に一種独特の熱気がこもっていて、これこそがTHE WHOの本領なのです。
このデビューアルバムはイギリス盤とアメリカ盤ではジャケットも違う上に、曲目/テイクにも違いがあり、タイトルも違います。(アメリカ盤のタイトルは"The Who Sings My Generation")
アメリカ盤のジャケットはビッグベンをバックにしたメンバーの写真になっていて、こちらも相当かっこいいので見たら絶対欲しくなります。
主な曲目/テイク違いとしては、B-1の"The Kids Are Alright"がアメリカ盤では一般的に出まわっているテイクであるのに対し、イギリス盤の方はドラムの部分がロングバージョン(勿論こっちの方がかっこいい)になっています。
でもアメリカ盤には必殺の"Instant Party"が入っているので、一概にはどちらが良いとも言えないです。
珍しさで言えば、一番レアなのは実は(これまたジャケ違いですが)日本盤だったりもします。
DVDが普及しているような時代にこんな事をいうのも何ですが、是非ともモノラルで聴いて欲しいレコードです。