第24回
BAD COMPANY
"Run With The Pack"
BAD COMPANY - "Run With The Pack" 1976 UK ISLAND ILPS9346 (Hard Rock) RARE度: ★ |
Member : | Paul Rodgers(vo,g), Mick Ralphs(g,key), Simon
Kirke(ds), Boz Burrell(b) |
Side (A) 1. Live For The Music 2. Simple Man 3. Honey Child 4. Love Me Somebody 5. Run With The Pack |
Side (B) 1. Silver, Blue & Gold 2. Young Blood 3. Do Right By Your Woman 4. Sweet Lil' Sister 5. Fade Away |
ブリティッシュロックファンの方なら知らない人はいないというくらいのハードロックの王道的バンドで、もしかしたら一般の方でさえも名前くらいは聞いた事があるかも知れません。
略して『バドカン』とも言うこともあるようです。(多分、日本だけです)
特に黒地に白い字で『BAD CO』と書かれた一目見たら忘れられないジャケットの1STアルバムは、ブリティッシュハードロックの名盤集のような特集ものでは必ずと言って良いほど紹介されるので、1STだけは持っているという方も多いのではないでしょうか。
今回ここで紹介するのは彼等の通算3枚目にあたる作品です。
1STアルバムは、ドタバタドタバタとドラムスが乱入して始まるA面1曲目"Can't Get Enough"に代表されるような若干ヘタウマ的なところが魅力の作品でしたが、それから2枚の作品を発表する間にバンドとしてかなりの進歩の後が見られます。
A面1曲目の"Live For The Music"の鋭いイントロの切れこみを聴けば、『あれ?もたついてない上にキレがある!』と、彼等の成長ぶりを認めざるを得ないのではないでしょうか。
アルバムの曲の構成がハードロックとバラードを交互に配置したものとなっていて、1STに較べるとハードな曲はより洗練されて切れ味鋭くなっており、バラードはより豪華になっています。
バラード曲で感じられる豪華さは、PAUL RODGERSの工夫によるところが大きく、このアルバムで彼は"FREEの影"から完全に脱却したといって良いでしょう。
またどの曲も非常によく練られており、特にタイトル曲はピアノが大胆に導入されたドラマチックなハードロックナンバーとなっていて曲の完成度も高く、この時期のBAD COMPANYのグループとしての充実ぶりがよく伝わってきます。
FREE/BAD COMPANYと並び称される事が多いようですが、FREEと較べるとブルース色は殆どないので全く違うグループと考えた方が良いでしょう。FREEが好きだからといって必ずしもこちらも気に入るかというと、その辺りは難しいところだと思います。
また、洗練された本作よりも1STのあのストレートで不器用な感じの方がむしろ好きという方もいると思います。
このアルバム以降のBAD COMPANYはだんだんパワーダウンして行き、PAUL RODGERSのヴォーカル以外はあまり聴き所のないようなものが多くまるで彼のソロのようです。
そういう意味ではこの作品はHRバンドとしてのBAD COMPANYとしての最後の輝きという気もします。
蛇足ですが、BAD COMPANY解散後PAUL RODGERSはJIMMY PAGEと合体し、FIRMというグループを結成します。
85年の作品なので70年代の音を期待してはダメですが、それなりにカッコよくて発売当時は随分興奮して聴いていた記憶があります。今聴いてもそれなりに燃えることはできると思います。