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第367回 MADE IN SWEDEN - Snake In The Hole
   1969 SWEDEN-SONET SLP2504 (Psychedelic Progressive Jazz Rock)
RARE度:★★★★★★
Member :
Georg Wadenius(g,key,vo), Bo Haggstrom(b), Tommy Borgudd(ds), Svend Asmussen(violin)


Side (A)
1. Snake In The Hole
2. Lay Lady Lay
3. Discotheque People


Side (B)
1. Give Me Whisky
2. Kristallen Den Grymma
3. Little Cloud
4. Big Cloud



ケブネカイゼ(KEBNEKAISE)と双頭をなすスウェーデンを代表するプログレシッヴ・ロック・グループ。

北欧という中でも68年にデビューしたこのグループは、この2ndアルバムで一気にその才能が開花。プログレというには大人っぽすぎ、サイケというには整合感があり、ジャズほどBGMにもならない、そんな不思議な音楽性です。

北欧というとノーベンバー(NOVEMBER)やアント・マリー(AUNT MARY)等のもっともっと力いっぱいな全力疾走系のハード・ロック風のグループの方が有名で、このあたりになってくるとかなりなマニア・ライクな 気もします。

そこにもってきて、一度は手に取るのを躊躇してしまうジャケット!

真ん中で背中向けて座っている裸の人に少し緊張してしまうのですが、裏ジャケではこの彼女、こちらを向いてニッコリしてくれるので、少しリラックスできます(?)。一歩間違えれば下品になりかねないところですが、この大胆さが音楽性にも表れているのかもしれません。

なぜなら、いきなりA面の出だしからして「え?そうくる?」です。驚きです。決して「ハイッ、はじまります!」的にはならず、カウントを取る事もなく、なんとなく始まっていて、知らぬ間にその世界に引きづりこまれていた、まさに平田オリザさんの青年団のような世界で、これは3回そこら聴いただけではその真意は理解できないと思います。

2つのバンドが同時に違う進行で演奏しているようなA-1。なかなか経験したことのないリズム・チェンジです。演奏はサイケデリック・ジャズロック風・クロスオーバー・ヘヴィプログレといった(どんなんだ)色合いですが、もっと奥の方に本当の姿が隠れていそうです。 聴けば聴くほどにハマってしまう、麻薬(やったことないですが!)のような魅力に満ち溢れています。

そしてA-2はなんと、ディランのカバー!ディランの方はもっと荒々しく土っぽく乾いた感じなのに対し、このカバーはもっとウェットで煌きのある感じに仕上がっています。 非常にカラフルなプログレです。曲のアレンジも面白く、別の曲といってもいいくらいなオリジナリティーです。 燃えよドラゴンのミラーの中での戦いのような万華鏡的世界が広がります。

つづきA-3もまたカッコよく最高です。それでいながら曲は淡々と、粛々と。奥に見え隠れするベース・プレイが実は鼻血か。とにかくジャケそのままの不思議な世界が延々と続きます。モルト・ウィスキーが欲しくなってきます。

続くB面に移っても、ヘヴィー・ブルース・ロックをプログレ・アレンジ展開したようなこれまた万華鏡な世界が花開き、ここでもベースはのたうちまわります。B-2以降はジャズっぽくてテクニカルなナンバーで進行していきます。ヴァイオリンを入れて4人のクレジットとなっていますが、実質的にはバンドはトリオ編成で、ベースがブンブンいいっ放しのせいか、もっと分厚い編成に感じさせらるんですよね。

それにしても最初から最後まで、テクニカルに迫り、ジャズとブルースにプログレを非常にハイレベルなところでバランスよく融合させたような音楽は、音質や演奏力にこだわるファンも黙らせる凄みがあります。未だ、宗教とか民族とか、主義主張の 違いを受け入れることができないで、我々のたうちまわっている感じですが、すでに70年代ロックは、ジャンルを軽々と超えた融合を成し遂げていた…。

カッコよすぎです。

(2015.11.18)

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4901447 MADE IN SWEDEN/Snakes In A Hole 15,000円(税別)
詳細は→ http://bit.ly/1xxkc07
(2015.10.15)