Back To Home

第362回 SUBWAY - Same Title
   1971 FRANCE-EPIC EPC64541
(Folk Psychedelic)
RARE度:★★★★★★
Member :
Irv Mowrey(vo,g), Malcolm Watson(violin)

Side (A)
1. I Am A Child
2. Song For Sinking Shelters
3. Warm You Are
4. All The Good Things
Side (B)
1. Enturbulaton-Free Form
2. Arizona Sands
3. Rosanna Of The Roses
4. Can I Trade With My Min
60年代の知る人ぞ知るフランスから極少数枚のみ発表されたサイケ・フォークのまさに幻の1枚です。

このジャケットを見て購買意欲を持つ人というのはまったく違うものを求めているひとたちか、それか余程の凄腕の目利き、もとい、耳利きか...と持つのはそんな印象ですが、サブウェイはこのジャケに映っているふたり、アメリカ人のアーヴ・モーレイとイギリス人のマルコム・ワットソンによるアシッド・サイケ・フォーク・デュオです。

もっと幻想的なデザインだったり、16世紀の絵画とかそんなジャケット・アートだったらだいぶ違ったかもしれません。

このアルバムは知人からぜひ聞くべしと言われ、その言葉だけを信じて通販で購入したもでが、当時はインターネットもない時代。その手の資料もまるで充実していなかったので、ジャケも知らずに注文をしたのです。そこに届いた荷物を開けてこのジャケが出てきた日にゃ・・。ハードロックやプログレ一辺倒で来ていたモノにっとては、もうその瞬間に体全部から汗が流れ落ちたことを今でも忘れません。

そういう事もあり、完全に戦闘意欲を失った状態で、ターンテーブに乗せるわけですが、A-1に針を落とした瞬間から、これがジャケの衝撃とは真逆の衝撃でした。

いきなりのバイオリンの調べ。そしてたおやかで室内音楽の教育を受けた正統派な素晴らしい歌声。

なんだこれは!?

スリー・マン・アーミー(THREE MAN ARMY)の1stの極上バラッドで身体がとろけるあの感じなんです。そしてサビでのフォークのかき鳴らし。まさに木霊とはこのことでしょう。ジャケ写の妖しい服装が、さもありなん、と思わせるような珠玉。バッキングでゆらゆらとゆれるバイオリンがミステリアスそのもの、絶対クスリやらないと出せない音。表現するとそんな感じです。

つづくA-2は更に森の奥です。獣道を草木をよけながら淡々と歩んでいくと、時折バイオリンが横風のように通り過ぎていきます。夏の夜の一陣の涼風のごとく。そして歩き続けていくと突然眼下はるか下に水源が見えてきて、いつしかまわりは暗闇に。 暗闇になると眼だけが不気味に光って見える動物も道の向こうに現れてきつつあり、こうもりや野獣が動き回るこれからが森の闇の時間です。

そして洞窟の中でクスリをやりながら眠りについていくような雰囲気のA-3。

歌詞を真面目に聴いていないので、このあたりは相当に的外れなことを申し上げている危険性はありますが、ドラッグ・ミュージックと言っていいでしょう。マジック・カーペットとかそのあたりでトリップする感覚と同じ香り。バイオリンってやばい楽器なんだなと改めて痛感します。こんなに少ない楽器でここまでの世界を創り上げることができるというのは本当に脱帽です。

B面の出だしには、遠くにニワトリの声が聞こえてきて夜明けのムードです。森から出てきた感じで、再び活動開始!ロック色が強くなり、ドラムスが来てメロトロンっぽい音まで聴こえてくると、アドレナリンが流れ出します。A面のトリップ色こそ薄れますが、フォーク・サイケ、プログレ・サイケな感じがまた独特です。

音楽は化学変化だとは思いますが、この二人がこの時期に出会えたからこそできたサウンドなんでしょうね。

いずれにしても内容的にはフレッシュ・マゴッツ(FRESH MAGGOTS)あたりと軽く肩を並べる出来なのに、ジャケ(くどい?)のせいでこの内容にしては相当な不当評価だと思います。と、あとはバンド名にももう一工夫があれば、というところです。

聴くドラッグとは言わないまでも、マイナスイオン満載のサウンドは聴くサプリでもあり、定期的に服用しながら、新年度も乗り越えて参りたいと思います!

(2015.3.31)

こちらのレコード在庫にあります!

SUBWAY/Same (98,000円)
詳細は→ http://bit.ly/1beUYd1