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第351回 EPITAPH - "Same Title"
   1971 GERMANY POLYDOR 2371 225 (Hard Rock)
RARE度:★★★★
Member :
Cliff Jackson(g,vo), Klaus Walz(g,vo), Bernal Kolbe(b,mellotron,vo), Jim McGilvray(ds,vo)
Side (A)
1. Moving To The Country
2. Visions
3. Hopelessly


 Side (B)
1. Little Maggie
2. Early Morning




ジャーマン・ロックの中でも異色のプログレです。

『エピタフ』と言うと、どうしてもキング・クリムゾンのあの曲が最初に思い浮かぶのですが、こちらがバンド名です。『エピタフ』の意味が 『墓碑銘』だとご存じの方も多いか思います。ただ、日本語の方は何か小難しさがあって、どうもアルバムの印象にそぐわないように思うのですが、如何でしょうか。

むしろ『エピタフ』という語感からは、幻想的なイメージが喚起されますし、同時に不思議なデザインのジャケも幻想的なので、一見リリカルなアシッド・フォークでも展開されそうな気配すら漂います。

さらに、ドイツのプログレというと暗黒で真っ暗、ドロドロのリズムと恐怖のギターに暴れるオルガン、と相場が決まっているので、その 先入観と相俟って、ジャケットとバンド名に、このアルバム、大丈夫か?と、警戒感は否応なく高まりますね。

そんな心持ちで針を落とすのですが、いきなりA-1がアップテンポな由緒正しいハード・ロックで、ギターがツインで走るところも小気味良く、 おっ!と体を乗り出してしまいます。ただやや軽快なノリはアメリカの臭いがしてしまい、アルバムの中では一番ドイツから遠い1曲かも しれません。音も70年代初頭とは思えない新しい感じがあり、この辺が大手レーベルから堂々とデビューしている所以でしょうか。

A-2に繋がると、お待ちかね!クリムゾンのエピタフめいてきます。幻想的なメロトロンがじわじわと迫ってきて、正しくジャケの雰囲気 そのままの1曲は 実にゆったりとした時の流れに、リズムは軽快でテクニカルです。

続くA-3で、とうとう我慢しきれずドイツらしさを露わにしてしまう感じでしょうか。長尺に繰り返し、転調もあってカッコよく、曲も良くて、 聴きこめばどんどん好きになります。が、個人的な好みから言いますと、音質がきれい過ぎるので、ハード・ロックの持つ荒々しさが損なわれて いる感があり、もっと歪んだ感じに仕上がっていたらずいぶん違う印象だったと思います。

そしてB面。更に大作指向の2曲構成言う長丁場です。すわアメリカン・スワンプか!?という、緩やか出しに油断していると、急にプログレ感が 出てき緊張を強いられ、その気になっていたら、今度は再びユル目のサウンドに戻るという、ビックリの展開が待ち受け、一枚、いや一曲で かなり盛り沢山です。

この後にやってくるB-2がクライマックスという事になるのでしょうか。このアルバム中いちばんドラマティックで、リフも効果的に使われていて、 リズムもカッコいいです。アメリカン・ロック色は影をひそめ、むしろ北欧ハードのムードさえ漂う、ヨーロッパのカッコよさです。

後半に近づくにつれ、どんどん盛り上がり、最後はベースまでもが腹いせのように前面に出てきます。そして最後におなじみのリフレイン!

ところで私、このジャケは鳥人間みたいなバケモノが座っているのだと思い込んでいました。名古屋の地下鉄のキャラは体が駅員で頭がシャチ ホコという不思議な体をなしていますが、そんな感じ。こんな幻想的なジャケに似合わず、なんでバケモノが・・と思っていたのですが、 よくよく見ると普通の少年がうなだれて座っている上に鳥(猛禽系ですね)がとまっているいるではないですか。シュールです。

誤解したままのジャケットの印象から解放されると、さらにサウンドの印象まで変わってきて、急に興奮してしまった次第です。 いやー見直しましたねー、このアルバム。(おい)

誤った先入観は危険ですという教訓と共に、更にもう一度聴き直してみたいと思います。

- EPITAPH/Same http://bit.ly/1hb9UJK

(2014.03.30)