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第343回 BANCHEE - Same
   1969 US-ATLANTIC SD8240 (Hard Rock)
RARE度: ★★
Member :
Jose Miguel Dejesus(g,vo), Victor Digilio(ds,vo), Michael Marino(b,vo), Peter Alongi(g,vo)
Side (A)
1. The Night Is Calling
2. Train Of Life
3. As Me Thinks
4. Follow A Dream
5. Beautiful Day



 Side (B)
1. Evolmia
2. I Just Don't Know
3. Hands Of A Clock
4. Tom's Island



69年のデビュー作と71年のセカンドの2枚を発表して消えた、北米出身のハード・ロック・バンド、バンシー。こちらはデビュー作の方です。

最初に総括をしてしまうと、アメリカのハード・ロックにありがちな押し一辺倒ではなく、色々なアプローチを見せてくれるのが特徴です。 特にA面はCSN的コーラスなんかも絡ませた、ゆるやかな、いわゆる非常にアメリカンなサウンドです。そこにファンキーな要素と、 フォーク・タッチな部分、そして西海岸な雰囲気も持ち合わせて、 そよ風的なハーモニーも絡む、悪くいえば中途半端ですが、飽きること なく何度でも聴ける音楽…、という感じでしょうか。

さて、そんなレコードをなぜか手にした私。

幻のハード・ロックの名盤とも言われる1枚だと聞いていた事もあり、 出会いがしらで聴いてみた訳ですが、ジャケットもカワイイし、最初から 明るいアメリカン・ロックだと決めつけて掛かったので、さぁ大変。 初めて聴いた時には、一瞬中身が違うのでは?と思ってしまった事を 告白します。

確かに、曲調やハーモニーは普通のアメリカン・ロックですが、ドラムス ひとりが違う音楽性を主張していて、A2に来て主役級の出番がくると、 このドラムス、極端に暴れ出すのです。

そよ風色のコーラスなのに、かなり強い曲もあり、そこに、その暴れ ドラムスが入って、スリー・マン・アーミーVSウッデン・ホース みたいな、なんとも中途半端な魅力な展開になるのです。確かにこれでは 固定ファンをつかむのは難しかったことでしょう。

まだA面なのに、後半はどんどんハードになります。ギターもアコース ティックなナンバーではゆるゆるなのに、エレクトリックなギターは 全くの別の顔を出し、A面ラストは全く一筋縄ではいかない展開を 見せるので、「ふつうはこんな風に展開しねえよ〜」と突っ込みを 入れたくて仕方ありません。でもそれこそがこのアルバムの醍醐味だと 言えます。う〜ん摩訶不思議。

B面になると今度はベースも暴れだし、更にヘヴィーになっていきます。

最後には王道的な正統派ハード・ロックのロング・ナンバーで締めくくる のですが、ここに来て初めて随分直球な感じを出し、その内容も すっかりハード一色です。

アメリカっぽさが薄れ、気が付けばヨーロッパ的なハード・ロックに 来ていた、そんな感じです。メンバーにイタリア系の人もいるだけの事も あるのでしょうか。

穿った見方をすると、バンドの方向性がまだハッキリしていない デビュー作、となるのでしょうけれど、だからこそ、面白い仕上がりに なっている一枚だと思います。
v 政治も経済も、どーも方向性が定まっていない感じな昨今のムードに マッチした一枚か。

しかし、どこからこのデザインが来たのかという魅力的なジャケットは ちょっとドラゴン・ボールの人造人間に似ているかな。

(2013.06.30)