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第331回 DORDE ILIJIN "Zabranjeno Prisluskivanje!"

DORDE ILIJIN - "Zabranjeno Prisluskivanje!"
1983 YUGOSLAVIA-SUZY LP-408
(Progressive Rock)

RARE:★★★

Member :

Dorde Ilijin(key,flute,g)


Side (A)
1. Mojim Ucenicima
2. Natasi
3. Lako Putovanje Na Druge Planete
4. Balkanska Meditacija


Side (B)
1. Secanje Na Mljet
2. Putovanje
3. Podzemni Prolaz
4. Pesma Miru


旧ユーゴスラビアを代表するプログレ・バンドといえばTAKOの名前が 思い浮かびますが、このジョルジェ・イリジン(DORDE ILIJIN)は、 そのTAKOのキーボード奏者です。

TAKOの2ndから3年を経て発表された作品ですが、TAKOよりも洗練された美しさに満ちたソロ作は、更に時代を下った83年に発表されています。

東欧というと、内容はよくとも録音状態やプレスがいまいちだったり、 80年代だと微妙に音が新しすぎてピコピコ系だったり、はたまた、 ヘヴィメタ系に走ったりするので、取捨選択には慎重になるのですが、 本作品はそんな中でも『当たり』アルバムです。

キーボードと言えば、例えば『ダンカン・マッケイ(Duncan Mackay)』の 波状攻撃のような『音の壁』の感じではなく、全体的に奥ゆかしい サウンド゙で、特にところどころにTAKOばりの哀愁フルートが良い味を 出してくるところが、かなり出来の良いシンフォニック・ロックに 仕上がっている印象です。録音もよく、メロディも珠玉です。

A-1は静かなピアノの調べで幕をあけ、コーラスで広がり、哀愁フルートが 乗っかってくるところはさすで、まさしく幽玄という言葉がぴったりの 内容です。タイプはやや異なるかもしれませんが、ウェールズの フォークなどにも通ずる美しさがあると思います。プログレとはいえ、 フィメールにこだわらなければ、ウェールズ系の方でもイケるのでは ないでしょうか。

A-2では重厚な雰囲気な深みのある展開を見せますが、同様にフルートの 挿入が効果的で、エフェクトかかったヴォーカルが英国ではない ヨーロッパです。

以降は、段々と映画『アバター』のビジュアルを思い出しそうな、 未来感を醸し出す広がりを見せます。少しヒーリング・ミュージックより に行きそうな部分では思わず『眠っ・・(おっと!)』となりそうに なりつつも、そこはプログレ。シーンはどんどん展開します。

極端に言えば、マイク・オールドフィールドがピンクフロイドを やったらこんな感じかな、といった印象はありますが、旧ユーゴス ラビアという地理的、そして83年という時代的な背景が生みだした、 とてもユニークなサウウンドだと思います。

控えめな色調なのにシュールなデザインのジャケも秀逸です。 合わせてTAKOもお聴きになることをお勧めいたします!

(2012.5.30)