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第323回 RAW MATERIAL "Time Is..."

RAW MATERIAL - Time Is...
1971 UK NEON NE8
(Progressive Rock)

RARE:★★★★★★

Member :

Colin Catt (vo, key), Mike Fletcher (sax, flute, vo), Dave Green (guitar), Phil Gunn (bass, guitar), Paul Young (percussion)


Side (A)
1. Ice Queen       
2. Empty Houses
3. Insolent Lady     
 a. Bye the Way
 b. Small Thief
 c. Insolent Lady       


Side (B)
1. Miracle Worker
2. Religion
3. Sun God
     a. Awakening
     b. Realisation
     c. Worship


ずばり『原材料』というユニークな名前のバンドの2ndアルバム。

EVOLUTIONというマニアックなレーベルから発表した1stのオリジナル盤は ギガ・レアですが、コレクタブル・レーベルのNEONからリリースのこの 2ndも、優るとも劣らずのレア盤となっています。

この当時において、弱小&マニアック・レーベルから2枚も発表している というのは、想像通り音楽性は群を抜いていると思います。

音楽的にはフォーク基調ながら実はブラスが大々的に活躍します。 メジャーなところでいうとジェスロ・タル(JETHRO TULL)、マイナー どころではニドロログ(GNIDROLOG)からインディアン・サマー(INDIAN SUMMER)的要素を幅広く持ち合わせいる感じでしょうか。

リズム・セクションはヘヴィで、フルートも全開、メリハリはグンパツで 切れ味もよく、静かな部分はピアノ等も登場、ユーロ・ロック的で 破天荒で叙情的な部分は心に響く系の歌メロです。しかし、所謂ユーロ・ ロックと圧倒的に異なるのが、このバンドがブリティッシュだという 所でしょうか。ウェットと申しますか、トン・トン・マクート (TONTON MACOUTE)を超える、英国独特のくすみ感、荒涼とした感じの サウンドが独特なのです。ヒースクリフも真っ青です。

それでも全体的にはNEONの肉汁がぎゅ〜っと詰まった、思わず拳を 振り回しそうな、もとい握りしめてしまうような、旨味はタップリ。

完璧な曲構成で、捨て曲無しで引き締まったA面はある意味正攻法ですが、 B面の始まりは、少し奇妙なリフの変なユニゾンが奥深く、ドラムスが 独特の音色のやわらかさが最高です。このあたりは、インディアン・ サマーの良い部分をぎゅっと絞って拳を(くどいですか・・・)。

ヴォーカルはやたら艶やかでこれも不思議と耳にやさしく、二日酔い 明けでも十分食べれる『おかゆ』のような耳障りのよさなので、 曇天の憂鬱な日に聴くのもいい感じです。

B-2は、これまたなんと不思議な曲展開で、そうです、このイントロは 北欧はスウェーデンのノーベンバー(NOVEMBER)の曲によく似ています。 次から次へと変幻自在に繰り出される多様な音楽性は、かの忍者イカと 言われたハナイカのようです。続くB-3で途中に挟むアコースティックな 展開もたまりません!!

このアルバム、本当に内容が良くて大好きなのですが、実は、私のような 一般人には、意味不明のだと思えるのがジャケット。あのキーフが デザインしたという『爆発する砂時計』は、化学実験室の3コマ漫画 ちっくでコ難しくもあり、とても『ジャケ買い』系の購買意欲を そそるとは思えないのです。

が、しかし、レコードを聴いた後で改めて眺めるとやたら有難く ググッとくるので不思議です。

残念ながらこの2ndで終わるこのグループ、持っている『原材料』を 全部出し切ったかの如くの充実の一枚です。

(2011.09.30)