BACK TO HOME

第322回 PFM "Per Un Amico"

PFM - "Per Un Amico"
1972 ITALY NUMERO UNO DZSLN55155
(Progressive Rock)

RARE:★★

Member :

Flavio Premoli(key,vo), Franco Mussida(g,vo),
Franz Di Cioccio(ds), Giorgio Fico Piazza(b),
Mauro Pagani(flute,violin)


Side (A)
1. Appena Un Poco
2. Generale!
3. Per Un Amico


Side (B)
1. Il Banchetto
2. Geranio


PFMとは、PREMIATA FORNERIA MARCONIというやたら長い正式名称の 略称で、パン屋さんの名前が由来だとのこと。プリミィアァァタ・ フォルネリィイーア・マァルコォォーニ、って感じで、名古屋弁っぽく その名を語ると、それっぽく、しっくりくるのが不思議です。発音が 正しいものかどうかはさておき。

冒頭からの余談で恐縮ですが、そう思うと、名古屋弁とイタリア語は なんとなく共通項が感じられ、イル・ロベスッチオ・デラ・メダリャ (後半すごい)とかコルリオーネとかジェノベーゼとかシロノワール (おっとこれは最初から名古屋弁!)とかで、どれも名古屋っぽい 発音になります。一度このあたりの類似性は研究の価値があるの かもしれないな、と常々思っておるところです。・・というか単に アクセントが後半にあるだけですが。

さて本作は、イタリアン・プログレの走りとでもいうべきポジションに ある作品で、『友よ』という邦題がつけられたセカンド・アルバムに あたります。

イタリアのバンドというとインターナショナルな活躍はほとんどせず、 イタリア国内でレコードを出していたにとどまっていたのが大半ですが、 このバンドは英語による世界発売しているものもあり、『幻の映像』と いうタイトルで当時の日本でも発売されていたことで知られています。

更にその後の80年代にやってくる未曾有のイタリアン・ロック・ブームに 乗って当時のイタリア盤の数々が原盤仕様のまま次々と再発される 訳ですが、世界発売盤にくらべ、こちらではもちろんイタリア語で 歌い上げており、内容的には格段に上だと思います。『セェーレーブ レイションッ』なんかより百倍いいです。(おっと!)

かく申すこの私が、イタリアン音楽の世界に入ってきたのも、その 未曾有のブームの恩恵に預かったお陰もあり、こちらの『友よ』を 聴いた後に『幻の映像』を聴くという通常とは逆のコースを辿りました。

ヘヴィー・プログレ耳の持ち主だった当事は、ハッキリ申し上げますと、 あまり印象に残らず、その後何回か聴くうちにじわじわと効いてきた 感じです。

月並みではありますが、やっぱり、みんなが口を揃えて言っているように 圧巻はA面の冒頭A-1です。

『人生は川の流れのようなもの』(ほんとですね・・)という邦題が つけられたこの曲は、ギターの爪弾き、フルートの調べ、突然のブレイク、 叙情的なささやきのヴォーカル、とのっけから凄いのです。 サビに至っては最高のメロトロンも大々的にフィーチャーされ、クリム ゾンもポセイドンも土下座する展開で、とてつもない盛り上がりを 見せます。

この箇所は80年代の西新宿や目白のレコード店のカウンターで 何回かけられたことでしょうか!店員と客が見つめ合って腕を組んで じーっと聴いて、『こっこれ、いいっすねー。買います!!』

いやあ、本当に良い時代でした。

もちろん他に悪い曲はなく、どれもテクニカルで聴き応えは十分で、 アルバム一枚を通して大変楽しめる仕上がりですが、それはよくあるお話。

他を省略している訳では決してないのですが(ホントに!)、叙情的で 情熱的でロック・・・たった一曲でも、イタリアン・プログレの エッセンスが満載のA-1は、アルバム一枚分位のヴォリュームが たっぷりだというのがポイントのアルバムであるという点が お伝えできれば幸いです。

ピリっとインパクトのあるそんな仕事がしてみたいものです。私も。

(2011.08.30)