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第311回 KANSAS "Leftoverture"

KANSAS - "Leftoverture"
1976 US KIRSHNER 34224 (Progressive Rock)

RARE:

Member :

Phil Ehart(ds), Steve Walsh(key,vo), Kerry Livgren(g,key),
Rich Williams(g), Robby Steinhardt(violin,vo),
Dave Hope(b)


Side (A)
1. Carry On Wayward Son
2. The Wall
3. What's On My Mind
4. Miracles Out Of Nowhere


Side (B)
1. Opus Insert
2. Question Of My Childhood
3. Cheyenne Anthem
4. Magnum Opu


アメリカン・ヘヴィー・プログレを代表するカンサスの4作目、邦題 『永遠の序曲』です。

正直言って、カンサスは音が新しすぎるのとキラキラのヴォーカルが まぶしすぎて、少し敬遠していたのですが、この作品だけは別。 ラッシュやスティックス、ボストン等ともよく引き合いに出されては いるものの、そこまで甘くはなく、もう少しマニアックです。

メタリックでまぶしさや明るさも確かにあり、決して夜中にしっとりと 聴くような音楽ではなく、雨の日の音楽でもありません。が、音数が多く、快晴の青雲を突き抜けるようなそんなサウンドとでも申しましょうか。

よって、暗黒のブリティッシュ・ロック・ファンにとっては、やや 湿り気が少ないか・・というところは否めませんが、それでもやはり、 ロック・ファンなら、耳にしておくべきサウンドだと思います。

A-1ののっけからのコーラスで昇天しまった人が多いという話も聞きますし、 大ヒットした曲ということもあって、これをこの作品のハイライトと いう方も多いようです。

A-2はこれまたメロディアスで、泣き泣きです。この曲でも昇天者は 出ている模様です。

・・が、しかし。

私が昇天するのは、B-3です。「黙示録」と題されたこの曲は、すべての ロック・ファン、プログレ・ファンを魅了するであろう、名曲中の名曲。 B-3なんていう、地味なところに収録されているせいで、もしかしたら カンサス・ファンでもこの曲をスルーしているのでは?と思うのですが、 もうドラマチックの宝庫です。美しすぎます。

そして、私が一番しびれる天使の如き女性コーラス。やばいです、涙腺。 もうフツウではいられなくなります。そこに叙情的な旋律が次々と 繰り出され、アップテンポに転調すると、もう泣いてなんかいられません。 (どっちなんだ?)そして満を持しての水戸黄門フレーズ!!

その後はピアノが転がり、最初のフレーズに戻るのですが、あぁ、なんて 美しいんでしょう!嵐の後の湖畔の霧が晴れていくような夜明け(?) いやあ、いい汗かきました。もうこの曲だけで私は十分です。

ありがとうございました。

恐るべき事に、『このLPが一番好き』と言う少年がいます。友人の 長男なのですが、なんと小5。小5で『LP』っていう所も驚きですが、 小学生から『カンサス』って…。これは、中年オヤジもボンヤリして いられないな、と思った一枚でもあります。

(2010.08.30)