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第307回 ATOMIC ROOSTER "In Hearing Of"

ATOMIC ROOSTER - "In Hearing Of"
1971 UK-PEGASUS PEG1 (Heavy Progressive Rock)

RARE:★★

Member :

John Cann(g,vo), Peter French(vo),
Paul Hammond(ds), Vincent Crane(key)


Side (A)
1. Breakthrough
2. Break The Ice
3. Decision/Indecision
4. A Spoonful Of Bromide Helps The Pulse
Rate Go Down


Side (C)
1. Black Snake
2. Head In The Sky
3. The Rock
4. The Price



アトミック・ルースターといえば初期の3部作はどれも本当に素晴らしく甲乙付けがたい内容ですが、最近の一番のお気に入りがこの3rd。

この作品は、かのリーフハウンド(LEAFHOUND)でその名を天下に轟かせたピーター・フレンチがヴォーカルとして参加していることでも有名で、 マニアなら持っていないとヤバいとされている一枚です。

その内容は、一聴した感じでは派手さは少なく、地味ぃ〜な印象なのに、細部に亘った芸の細かさが実に緻密で、ドラムスのおかずのかすかな 一音一音に至るまで全く無駄がなく、聴けば聴くほどに奥の深さに唖然させられます。

印象は地味ですが、もちろん十分に『ハード・ロック』なのでそこは 誤解しないようにして下さい。ただ、ハードさが『ドライ』じゃなく、 非常に『ウェット』なのです。アメリカのハード・ロックのように紫外線 バリバリという感じではなく、薄曇った曇天のヘヴィー・プログレと いった感じは、どんな種類であれアルコールが似あいます。

オルガンがこれほど渋くキマっている『ブリティッシュ・ハード』という 所もポイントの一つで、2ndで見事に開花した尋常でないリズム隊の 暴れっぷりが殊更に腕を上げ、聴いていて実に気持ちがいいのです。

A-1のイントロの渋さがそのままこのアルバムの世界を象徴しているようで、これも最初は印象が薄いのですが、聴けば聴くほどに味の出る曲です。

そしてA面ラストの曲。

とにかく最も強烈で、これはもう世界最強のインストゥルメンタル・ナンバーと言っていいでしょう!

踏み切りのようなカウベルの刻みにバスドラが裏で入ってくるところは軽音(←『軽音楽同好会』の略ですが今や死語?)経験者ならずとも、 生唾を飲み込むこと間違いなしです。サビのカッコよさもまたこれが尋常ではなく、どんなに厚着していても必ず鳥肌が立ってしまいます。

捨て曲は一曲もありません。

ヴォーカルのピーター・フレンチもリーフハウンドでキィーキィー歌う(?)よりも、この作品のようにしっとりと歌い上げるのが 合っているように思います。

『ハード・ロック』が好きで好きでたまらない若い頃なら、一番に挙げていたのは2ndアルバムだったはずなのに、会社の帰りに同僚と 居酒屋で周囲を気にしながらも、グタグタと上司の悪口を言うのにもそろそろ飽きてきたような年齢に差し掛かり、ようやくこの作品の 恐ろしさが理解出来てきたというのは、ちょと遅すぎか…。

最後に、このジャケットはどうですか!?雰囲気抜群です。




(2010.04.30)