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第305回 AEROSMITH "Draw The Line"

AEROSMITH - "Draw The Line"
1977 US-COLUMBIA JC34865 (Hard Rock)

RARE:

Member :

Steven Tayler(vo), Joe Perry(g,vo),
Tom Hamilton(b), Joey Kramer(ds), Brad Whitford(g)


Side (A)
1. Draw The Line
2. I Wanna Know Why
3. Critical Mass
4. Get It Up
5. Bright Light Fright


Side (B)
1. Kings And Queens
2. The Hand That Feeds
3. Sight For Sore Eyes
4. Milk Cow Blues


2010年現在もロック界のスターとして君臨し続ける化け物バンドの エアロスミス。

そのデビューは1973年ですので、37年目というとんでもない活動期間です。 ヴォーカルのスティーブン・タイラーは他の70年代のロッカー達が 太ったり老けたりしていく中で、驚異的な体調管理で奇跡的な体型を いまだに維持し続けていて、本当に凄いと思います。

あまりに活動期間が長いのでどこが『初期』でどこが『中期』なのか よくわかりませんが、ジョー・ペリーが脱退してもう終わりと言われた 82年頃までを『初期』と言っていいのではないでしょうか。

初期エアロスミスと言えば、デビュー作から本作5枚目(ライヴ盤も 数えれば6作目)まではどれも名作で、アメリカなのにブリティッシュ・ ロック・ファンにも通用する本物のロックで、中でも4作目の 『ロックス』は、曲の良さ、構成の素晴らしさ等全体の完成度が高く、 最高傑作と言っていいでしょう。

そして、本日ご紹介のアルバムは『最高傑作』の『ロックス』の次の 作品にあたるもので、『最高傑作』にはやや劣るわけなのですが・・・。

A-1のタイトル・ナンバーは彼らのヘヴィー・ロックの中でも屈指の出来で、 歌メロの良さとリフのかっこよさ、そして曲全体を支配する異常なまでの 暑苦しさが、真夏に食べるキムチチゲのようで、好きな人は好きだとは 思うものの、シンフォニック系の人には我慢ができない危険性を 秘めています。

そして問題はここからで、A面のこの曲以降は、ぶっちゃけつまらない曲が 延々と続き、買ったばかりの若い頃も、今も変わらず、A-2以降は真剣に 聴いたことがありません。

そして、この度、改めて聴きましたが、やっぱりイマイチです。

この感じで後半も続いていくのなら、本当に駄作で終わっていたのですが ようやくB面に移る頃にその考えは一変させられるのです。

B面は、完全に別のアルバムで、B-1こそは彼らの中で一番の曲では あるまいか?と思う程の素晴らしい歌と演奏。すべてのロック・ファンが 下を向く素晴らしさで、曲も信じがたいくらいドラマチックに展開して いきます。これはまさしく70年代にしか存在しえない音!!

みんなも大好きな『アルマゲドン』や『エンジェル』も目じゃないです。 そんじょそこらのヘタなプログレ・ヘヴィーには出せない一流の味わいは かのマウンテンの名曲すら凌駕しているのではないかと思うほどです。

更に、これだけで終わらないのがB面の凄いところで、B-2、B-3への 流れも絶品で、特にB-1からB-2へ行くところでは、もうこれ以上はない 曲順と言っていいでしょう。本当にカッコイイです。

アルバム全体で聴くとまとまりないですが、ハード・ロック・ファンは 絶対に聴いておかねばなりません。少なくともB面だけは。

(2010.03.10)