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第303回 PENTANGLE "Solomon's Seal" |
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PENTANGLE - "Solomon's Seal" |
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RARE度:★★★★ |
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Member : |
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Bert Jansch(g,vo), Danny Thompson(b), |
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Side (B) |
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再結成する前のオリジナルとしての彼らの6作目であり最終作です。 ブリティッシュ・フォーク・グループの中でもペンタングルの音楽性は 非常にオリジナリティ溢れるもので、単なるフォーク・ロックの範疇で 語るには申し訳ないような格式高いレベルだと思います。 その独特の作風ながら、決してワンパターンに陥ることなく、次々と 傑作を世に送り出してきたグループですが、本作品はそんな彼らの フィナーレを飾るにふさわしい作品と言っていいでしょう。 ソロモンの封印と題された、聴く前から期待に胸高まるタイトルと ジャケットですが、そこまで期待させておきながら、A-1の出だしが 凄いのです。まぁ一度聴いてもらえればどなたもびっくりする事と 思いますが、こんな勿体つけていないイントロには普通しないです。 それもA-1を。続くバート・ヤンシュの第一声で、何かをしていた手も すっかり止まってしまいます。 ペンタングルは紅一点の女性ヴォーカル、ジャッキー・マッシーの歌声の まろやかさがひとつの魅力になっていますが、本作では男性ヴォーカルが リードをとる曲でもバッキングでミステリアスな遠景を思わせる 素晴らしいコーラスも披露しています。 このアルバムは特にジャッキーがリードをとる曲が極端に良いので、 最初に手にしたばかりの頃は、いつものクセで、男性ヴォーカルの曲を 飛ばして聴たりしていましたが、いやいや実はそちらも奥の深い世界が 広がっているではないですか! 我ながら相変わらず失礼な聴き方をしているナ、と一度は反省するものの、 やはり、このアルバムはA-2が極上だと思います。 女性ヴォーカルの フォーク・ミュージックとしては5本の指に入ると言ってしまいたい位です。 ワインに例えると、バックの演奏にボルドーのしっかり感があるので、 ヴォーカル自身が本来持つボジョレーの軽快感が加わった事で、酸味は 少ないけれども、それでいてキレが悪いわけでもない、だったら最初から白ワインでしょ、というツッコミもありますが、和風でいえば、本当に 美味しいそばを、つゆを付けずに楽しめる、そんな深く優しい作品に 仕上がっているのです。(ますます解らなくなりましたか・・・。) しかしながら、ジャッキーのヴォーカルは、まだまだ終わったわけでは ありません。A-2を既に5本の指に入れてしまったのに、B-1に来て 更なる極地が待っていたので慌てふためく、そんな展開でしょうか。 メンバーそれぞれの力量が凝縮されたこのアルバムには、富士の ご来光にも比肩しうる格調高さと感動がある、という事で、めでたい 年初の一枚とさせて頂きます。 (2010.01.10) |