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第302回 YONINBAYASHI "Ishoku-Sokuhatsu"

YONINBAYASHI - "Ishoku-Sokuhatsu"
1974 JPN-TAM DR0004
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★

Member :

Katsutoshi Morizono(g,vo), Hidemi Sakashita(key,mellotron),
Shinichi Nakamura(b,vo), Daiji Iwao(ds,tubularbells,tambourine)


Side (A)
1. - 造語 -
2. Sora To Kumo
3. Omatsuri


Side (B)
1. Ishoku-Sokuhatsu
2. Ping-Pongdama No Nageki


70年代日本製プログレッシヴ・ロックの頂点です。

海外のレコード・フェアやレコード屋さんなんかに行くと、店の人から 『どこから来たのか?』と聞かれ、『日本です』と答えると、 日本のマイナーなロック・アルバムなんかを出して来ては 『ほら、キミの国のだよ』と言われて見せられたのが、見たことも 興味もないレコードだったりして、非常に苦い経験をしたことがあります。

私が西洋カブレし過ぎているのか、実は、自国の音楽をあまり聴いて いない、っていう事あったりしませんか?

別に食わず嫌いをしていた 訳ではないのですが、それ位日本のロックを聴く機会に恵まれずに来た私でも この作品だけは全く別格でした。

ジャケットからして、他とはちょっと違うぞ、という迫力で異彩を放ち、 内容も超一級品です。 サウンドは、フロイドの深みとタルカスの音圧、イタリアン・ヘヴィーの 情熱、ディープ・パープルのタテノリの興奮、ジャーマン・ロックの カオス・・・などを合わせ持った非常にハイ・ブリッドなもので、 その上を摩訶不思議な現実離れした日本語の歌詞が飛び交います。

最もインパクトが強いのは、やはりB-1のタイトル・ナンバーで、かつての UWFの英雄、前田日明の入場曲のような高揚感は手に汗握るもの。どんどん ヴォリュームのあがる危険さです!

A面は歌詞も秀逸で、個人的には『何か食べ物を買ってから、ともだちが くれた犬をつれて』という行が最高にお気に入りです。このリフレインの カッコよさと言ったら!!

楽曲だけでなく歌詞からもストレートに情景が浮かび上がってくるのは やはり、それが『日本語』だからという事になるのでしょうけれども、 単に言葉で訴えかけるのではなく、意味がなさそうで、意味深い、 単純だからこそ深みがある・・・みたいな独特のセンスを感じます。

全部で5曲の大作ですが、ダレる隙無くしっかり最後まで聴ける一枚です。

(2009.11.30)