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第300回 THE WHO "Tommy"

THE WHO - "Tommy"
1969 UK-TRACK 613 013/014
(Rock)

RARE:

Member :

Pete Townshend(g,vo), Keith Moon(ds,vo),
Roger Daltly(vo), John Entwistle(b,vo)


Side (A)
1. Overture
2. It's A Boy
3. 1921
4. Amazing Journey
5. Sparks
6. Eyesight To The Blind

Side (B)
1. Christmas
2. Cousin Kevin
3. The Acid Queen
4. Underture


Side (C)
1. Do You Think It's Alright
2. Fiddle About
3. Pinball Wizard
4. There's A Doctor
5. Go To The Mirror
6. Tommy, Can You Hear Me?
7. Smash The Mirror
8. Sensation

Side (D)
1. Miracle Cure
2. Sally Simpson
3. I'm Free
4. Welcome
5. Tommy's Holiday Camp
6. We're Not Gonna Take It



説明不要の『ロック・アルバム』のひとつの金字塔的作品です。

60年代のモッズ・ヒーロー時代のザ・フーの素晴らしさに感銘を 受けた人であっても、そうでない人でも、ロック・ミュージックが 好きな人は絶対に通らねばならない現代の世界遺産です。

当時まだ20代の若者たちが作り上げたという事実、映画化もされ、『ロック・オペラ』というジャンルを切り開いた…、と、評価は 落ちる所を知らず、発表からたった30年で既に『伝説』の域に 突入していると言ってもいいでしょう。

こんな私ですら、出会って既に四半世紀を経ようとしていのに、何度 聴いても、未だに色褪せる気配が無いどころか、これから先に『色 褪せる』なんて事態を想像する事すらできません。

2枚組みながら全く冗長的なところがなく、アルバムの全てが聴くものを 押し包んでくれる不思議な感覚に、これはロックなのか!?、これが フーなのか・・・!?!?です。

幕開けはアルバム中屈指の柔らかな響きで始まり、あのキース・ムーンの 破天荒なドラミングさえ、全体を通した『柔らかさ』に一役買っている ところが驚きです。

『ザ・フー』のファンからは今ひとつウケが良く無いとも聞きますが 私は『トミー』無くして、『ザ・フー』が単なるモッズ・バンドの 一つから抜け出す事はなかったと思います。

こんなアルバムを作ろうと思い立った『ピート・タウンゼント』と いう人の偉大さに敬意を払いつつ、それはしかし、メンバー全員の 並々ならぬ力量があってからこそ、とも言えて、聴き込めば聴きこむ程に、 正真正銘の『ザ・フー』を感じることが出来るのではないでしょうか。

『スモール・フェイセス』の『オグデン…』『プリティ・シングス』の 『SFソロウ』『トミー』に並び称されるアルバムではありますが、 こうして『トミー』を改めて聴くと、他との違いは歴然ですね。 『ザ・フー』の魅力のすべてが詰まっていると言えるでしょう。 『四重人格』も名作ですが、これまた『トミー』とは次元が違うな、 と思います。

音楽もデジタルの時代を迎え、『レコードを裏返して聴く』行為自体の 経験が無い人が主流になりつつある今、2枚組みのロックLPなんて ものが既に『過去の遺産』なのかもしれませんが、『裏返す』時間も、 30年前の音楽と共に楽しんでもらいたいものだと思います。

余談ですが、数年前にロンドンに行った時、ピートが『トミーを書いた アパート』っていうのを見てきました。外からだけ見ただけですが、 なんていうことのない普通のアパートでした。

でもそこも、いつかウィーンにある『モーツアルトの部屋』みたく 公開されたりするんでしょうかね? でもそれもちょっと奇妙な感じだな…。

(2009.09.30)