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第299回 EMERSON LAKE & PALMER "Tarkus"

EMERSON LAKE & PALMER - "Tarkus"
1971 UK-ISLAND ILPS9155
(Progressive Rock)

RARE:

Member :

Keith Emerson(key), Greg Lake(vo,b,g),
Carl Palmer(ds)


Side (A)
1. Tarkus
- Eruption
- Stones Of Years
- Iconoclast
- Mass
- Manticore
- Battlefield
- Aquatarkus


Side (B)
1. Jeremy Bender
2. Bitches Crystal
3. The Only Way
4. Infinite Space
5. A Time And Place
6. Are You Ready Eddy?



『なぜ戦車怪獣?』『なぜ卵生?』『なぜタイトルが骨?』、そして 『なぜこんな名前?』・・・と、何故何故づくしの作品です。 しかし、一番の『なぜ?』は、『なぜこんな音?』でしょうか。

EL&P全盛期に発表された2ndアルバムです。

デビュー・アルバムはキーボード・ロックというジャンルを開拓した 歴史的かつクラシック・ヘヴィ・プログレの頂点ともいうべき作品で、 『イーグルス』の『ホテル・カリフォルニア』ではないですが、前作で尽き果てて、アイデアが枯渇し、次作に苦しむ・・・ そんな展開も珍しくはないのに、そんな不安は全くありません。

いきなり衝撃のA-1のイントロです!

この音の数はいったいナニ?圧倒的な音数全部が見事に一体化します。 すべてのプログレ・ファンが心の底から震え上がった瞬間でしょう。 特にアナログ盤は、更に音圧も凄く、まさにその名の通り 『噴火(Eruption)』です。

その上を、よく歌うハモンドが舞い上がっていきます。

凄まじい構築美は、発表から40年近く経った今でも全く色褪せません。

この噴火で始まるA面は、冒頭のテーマ・ミュージックをベースした 一大組曲で、それが何重にも何重にも塗り重ねられた油絵のようで、 異常な重厚感で持って進行していき、途中もまったく間延びすることなく 一気に最後までいきます。噴火で誕生し散々暴れてから海に帰っていくと いうストーリーに沿った素晴らしい展開です。

『弱い』という評価もあるグレッグ・レイクの雨期のごとき歌声ですが、音が濃すぎるのでこれくらいのしっとり系ヴォーカルの方が良いのでは? と個人的には思います。

コミカルなジャケとは対極をなすシリアスさが却ってアルバムの価値を 高めているような気もします。『原子心母(Atom Heart Mother)』と 同じ効果かもしれません。

ちなみにタルカスとはキース・エマーソンが帰宅途中に思い浮かんだ 名前で、想像上のモノだそうです。更にちなみに、『マンティコア』と いうのも伝説の生物で、アジアの森(ってどこ?!)に住んでいる らしいのですが、後年これは彼らのレーベル名になりました。

B面の小曲集も悪くはありませんが、個人的にはやっぱりこの作品は 怒濤のA面だと思います。

あ、そしてジャケットも。

(2009.08.30)