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第278回 WIND "Morning"

WIND - "Morning"
1972 GERMANY-CBS S65007
(Progressive Rock)

RARE:★★★★

Member :

Steve Leistner(vo,percussion), Thomas Leidenberger(g,vo),
Andreas Bueler(b,vo,percussion),
Lucian Bueler(key,vo,percussion),
Lucky Schmidt(ds,mellotron,vibe,piano)


Side (A)
1. Morning Song
2. The Princess And The Minstrel
3. Dragon's Maid


Side (B)
1. Carnival
2. Schlittenfahrt
3. Puppet Master
4. Tommy's Song



ジャーマン・ヘヴィー・ロックの名盤として”名低い”デビュー・ アルバムに続くこの2ndアルバムは、彼らのラスト・のアルバムでも あります。

まずは、メルヘンチックこの上ないジャケットに心を奪われます。

一度見たら忘れられないジャケットというのは、レコード・コレクターにとって非常に大切な要素で、どんなに素晴らしい内容でもジャケが いまいちだと、どうしても印象が悪く、損をしてしまっているというのはまぎれもない事実だと思いますね。例えばイタリアのカンポ・デ・ マルテ(CAMPO DI MARTE)は絶対損していると思いますね。あれがヒプノシスのデザインだったら、きっとキングからも再発が出ていたに 違いありません。

横道にそれましたが、本作のようなメルヘン風ジャケットというのはドイツという国柄と70年代という時代を考えた場合、逆にシュールに 展開する恐れがあり、グローブシュニット(GROBSCHNITT)の1stのような内容だったら、これは究極的に恐怖のジャケットだなとひそかにワナワナ して針を落とすわけなのですが、いざ出てくる音はジャケ通りのメルヘンがかったもので、肩透かしを感じつつも胸をなでおろすのです。

でも、内ジャケはそのイメージのまま怖く、これはメンバーの写真なのですが、いかにも「裏門でで待っとれや、ワレ!」(河内弁・・?) みたいな怖いオニーサンたちが佇んでおり、一体御本人たちは、表ジャケの、あのかわいいデザインを知っていて、このような 内ジャケの撮影に臨んだかどうかが気になって仕方がありません。

さて、ジャケはともかく、肝心の内容ですが、流石に1stでハード・ロックをビシッ!とキメていただけあって、足腰は鍛えられています。 安心して聴いていられるサウンドです。

この安心感は、UWFインターの新人を見ていると危なっかしくてしょうがなかったのに対し、新日本プロレスの新人は安心して見ていられた、 というその安心感に似ています。

また話がそれました。 A-1が名曲で、この曲の後半のヴォーカルの伸び上がりは、一瞬ゲイリー・ブルッカー(GARY BROOKER)のような表情を見せ、ブリティッシュ・ ファンは思わず巻戻してしまいます。(「巻戻し」って死語ですか?) そしてメルヘン・ロックにはかかせないのがメロトロン! 不思議な楽器です。このジャケットにしてこの楽器ありといった感じです。A-3での畳み掛けるメロトロンのどしゃぶりは、泣けます。

スクール・ウォーズ級です。

(2008.02.20)