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第260回 ELOY  "Floating"

ELOY - "Floating"
1974 GERMANY EMI IC062-29 521
(Hard Rock)

RARE:★★★

Member :

Frank Borneman(vo,g), Manfred Wiectorkei(key,g),
Luitjen Janssen(b), Fritz Randow(b)


Side (A)
1. Floating
2. The Light From Deep Darkness


Side (B)
1. Castle In The Air
2. Plastic Girl
3. Madhouse



なんとも 口に出して言いにくいバンド名ですが、このエロイは ジャーマン・ハード・ロックを代表するグループのひとつです。

ごみ箱のふたをあしらった変形ジャケットで71年にデビューを飾った 彼らは、さらに進化した2ndアルバムを発表、そして『流動』という 邦題がついた今回御紹介の3rdアルバムへと続きます。

この3rdは2ndよりもまた更に進化しており、ヘヴィで切れ味鋭い リズムセクションをバックに熟れ熟れの果実を搾りだしたかのような ウェットなハモンド・オルガンと音色のいいギターが疾走する素晴らしい 内容の作品です。

A-1ののっけから、えらいカッコよくて、中間部でのリズム・セクションが 渦を巻く展開の部分はアトミック・ルースター(ATOMIC ROOSTER)の かの名曲「セブン・ストリート7 Streets)」での熱狂をほうふつと させる白熱の展開。ドラムスも完全にぶっとんでいます。これ、画像で 見たらさぞかしカッコいいんだろうな。アント・マリー(AUNT MARY)の 2ndのA-1とならぶジャーマン・ロック屈指のA-1です。

そして2曲目。暗闇の中の小川のせせらぎのような静かで、それでいて 不気味なムードはこれぞジャーマン・ロックのお家芸!絶対に嵐がくるぞ と身構えていると、やっぱりきました。異常な切れ味。これは本当に凄い。 ブルース・リーと佐山聡がガチンコで勝負しているかのような素晴らしい スピードとキレ。そしてオルガンとベースのどろどろした調べです。

ふつうのジャーマン・ロックならこのままどろどろを延々と繰り返すうち に聴いているこっちが眠ってしまい、気がつくと宅急便がきて目が覚める という台無しの休日になりがちなんですが、エロイは違います。 同じどろどろしてでも、めりはりのあるどろどろなので充実した休日に なります。

B面も充実。曲もいいし、ドラムスが本当にハード・ロックのツボを おさえているので、畳みかける瞬間は圧巻です

ベース・ラインがジャーマンしていますが、イギリスのT2とかそういう系 が好きな人にはたまらない作品です。ギフト(GIFT)よりも良いのでは ないでしょうか。


(2007.07.30)