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第255回 DEMIAN  "Same Title"

DEMIAN - "Same Title"
1971 US abc ABCS718
(Hard Rock)

RARE:★★★★

Member :

Roy Cox(b,vo), Rod Price(g,vo),
Todd Potter(g,vo), David Fore(ds)


Side (A)
1. Face The Crowd
2. Windy City
3. Love People
4. Coming


Side (B)
1. Todd's Tune
2. No More Tenderness
3. Are You With Me, Baby
4. Only A Lover



ウェスト・コースト風のジャケットのせいで、一瞬、試聴する気も失せて しまいそうになりますが、中身は超強力です。

アメリカン・ハード・ロックというとそのお国柄のせいなのか、A-1で カッコよくキメて後はふぬけた展開になることが多く、さんざん痛い目に 遭ってきた方々も多いとは思うのですが、このデミアンは違います。

一聴した感じではどうということのないB級ハードロックで、聴けば聴く 程、納豆を延々とかき混ぜ続けたときのように、どんどん良い味に なってきます。A-1に衝撃力がない割に、その分ずっと同じテンション、 というより段々テンションが上がっていくので、各方面でそれなりの 評価は得ているようです。

如何にも小手調べといった感じで、軽いジャブという言葉がぴったりの A-1に続くA-2は、切れ味の良いギターにのせられながらも、メロディアス に展開していく佳曲で、その次のA-3に持ってくるのが驚きのフォーク・ ナンバーです。この曲もレベルは高く、カウボウイが夕陽に向かって 佇んでいるような、心のどこかを刺激するものです。

ということはA-3は休憩で、次のA-4は思いっきり来るんだろうな、来る んじゃないかなー、と思っていたら、やっぱ来ました!よく見たら 曲名までそのまんまCOMING!ギターは粘っこくメロディアスながらも 逆ギレのように炸裂し、リズムも「あれっ?こんな凄かったっけ?」って いうくらいの暴れっぷりで、エンディングは必殺。A-4まできて急に鼻血が 出てしまいました・・的結末です。

B面もそんなテンションが保たれたまま、B-1では妙な余裕すら感じられ ます。

だらだらとセット・ポジションに入って油断させといて、いきなり 一塁走者に牽制球を投げる、みたいな感じで、「ずっとリキ入れている ばっかりが能じゃない」といわれているようです。

サビでは一気にきます。というよりサビ以降一気にきます。

ギターのリフレインと味の良いヴォーカルがユニゾンで上りつめるところ は、手に汗握らずにはいられません。実にカッコいいのです。2台の ギターが実に素晴らしく、よく鳴ってくれています。エンディングも ご他聞にもれずリズム隊が逆ギレです。

この後も最後まで涼やかなヴォーカルとよく鳴るギターで聴かせてく れます。

全体的にミドルテンポなナンバーばかりなのでついついノーマークに なりがちなのかも知れませんが、ハード・ロック好きが多い、わが国 日本でもまだそれほど評価されていない、穴場的一枚だと思います。

国内盤はジャケ違いで、ちょいとダサいデザインなのがいささか残念です。


(2007.06.10)